スラックラインを公園に張るときの注意点と展望

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歩き方

2009年からスラックライン乗ってます。国内旅程管理主任者、日本山岳ガイド協会公認ガイド(自然Ⅱ登山Ⅲ山岳Ⅰ)、NACS-J自然観察指導員。アウトドア好きでキャンプ、星、植物、お魚好き。
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スラックラインと公園

スラックラインは主に公園で楽しむ公園スポーツの一種です。
一人黙々とひたすら乗ったり、皆で集まってワイワイと盛り上がったりとスポーツとしての楽しさの根源が詰まっています。

適切な安全管理のもとに公園に張って思い思い楽しみましょう。

近年ではスラックライン大歓迎という公園も増えています。
若い人が公園に来れば活性化しますし、環境の良い公園は遠方からも人が集まります。

うまく公園という資源を生かしきれなかった地方自治体もほとんどコストゼロで人が集まるので注目しているようです。
もちろんスラックラインは健康にもたらす効果も抜群。

スラックラインが継続的に張れる公園というのは、広くて緑が多く、のびのび遊べるあらゆる公園の目標ともなる環境といえるでしょう。

もちろん、公共のスペースを使うわけですから、スラックラインを張る側は最大限の安全管理が必要となります。

代表的な注意点は以下の二つです。

  • 他の人の迷惑になる場所に張らない。
  • 木を傷めないように配慮し、細い木には張らない。

公園の木を使わせてもらう

公園でのスラックラインを非常識と思う人もいるのは事実です。十分太い木でツリーウェアを使うならダメージという点では実際問題はありません。

ですが、心情として「木がかわいそう」とか、「公園を専有するな」「危ない」「非常識」「問題が起こったらどうするのか」「怪しいスポーツで集まるな」「自宅でやれ」などなどって思われることはあると思います。最大限気をつけたとしても、スラックライン自体が「拒否」されているワケです。スラックライン禁止、キックアウト!

あまり変な設置や対応をすると、問題になる可能性も含んでいます。

逆に言えば、正式に認められた公園はスラックラインをするには最高の場所です。
ちゃんと話をすれば認めてくれる公園もあります。

スラックラインはうちの自治体じゃ基本的にOK!って言ってくれている所もあります。

公園の有効利用を考えているからこそ、そういう粋なスタンスがとれているんだと思います。公園は利用されててこそ価値があると考える場合と、公園は庭園のように整備されていることが価値があると考えている場合があるのです。管理事務所のあるような公園は、後者の場合が多いです。利用者よりも管理が大事なのですから(何を最優先するかという意味)。

管理者のいる公園の場合

公園にスラックライン
んで、具体的にあれこれ書いてみます。まず、管理事務所のあるような立派な公園、もしくは何かの施設に付随しているような公園でスラックラインをする際は、遅かれ早かれ管理人とどっちみち接触することは避けられません。他の利用者の人から通報?されることもあります。

参考:https://slackline.jp/tree-slackline/

先手必勝なのか???


Slackline in Seattle is illegal? シアトルではスラックラインは違法でしょうか?
公園管理人はスラックラインを何らかの形で知っていることが現在では多いと考えれます。

管理事務所の人がスラックラインを知っているといっても、いわゆる綱渡りのような漠然としたイメージを持たれてしまっていたり、危ないスポーツと思われていたりします。
なので、もし管理人と接するようなことがあれば以下の点をアピールするのがポイントです。わざわざ事務所に挨拶しに行く必要はないと思います。

  • 危険なスポーツではなく、安全なスポーツである事
  • 誰でも楽しめて、誰でも歩けるようになる事
  • 他の利用者のじゃまにならない場所に張る事
  • 樹木を傷つけないように配慮する事

他にも細かいところでは色いろあると思いますが、経験者しかわからない細々したことを説明しても混乱させてしまうだけです。
そして、できれば管理事務所の人に実際に体験してもらうのが一番の理解の近道だと思います。

コンセンサスがない公園も多い

スラックラインが禁止されている公園だと言っても、実際は正式には禁止されていないケースがあります。つまり、ある時は見逃して張らせたり、ある時は禁止ですと通告したり、顔なじや家族連れの人には張らせたり、なんだか不審人物だと判断されて禁止と言われたり、場所的に非常識と思われて禁止と言われたり・・・・。以前はダメだったのに、最近は張れるようになったりと時が経つことによって理解される場合もあります。

また、管理人の居ない公園でやってくれみたいなニュアンスいう人もいるかもしれません。物事の本質を見定めることを放棄した考えで意味不明です。まったくもって腑に落ちないですね。

管理人よって違ったりも

また、管理人によっても対応が違ったりします。つまり、前日は普通に張って遊んでいて管理人と接触したにも関わらず、次の日に違う管理人に注意されるというケースがありえます。そういう時は、「昨日の管理人の人にはダメって言われませんでしたよ」と一応言ってみましょう。okになるケースがあります。

とにかく何でも禁止という公園も

クスノキでスラックラインと木登り
とにかく何でもダメ。芝生や遊具でおとなしく遊ぶか、ウォーキングしか許さないぞ!って残念な雰囲気の管理事務所もあります。本来なら公共施設なのですから、利用者の視点で幅広く健康増進に利用してもらうというのが本来の姿だとは思います。でも、公園には公園のスタンスや事情もあるんでしょうね。前例で何らかの問題が起きたケースも考えられます。そういうところは、無理に利用すると結局、悪い印象を与えてしまってマイナスが多いし安心して楽しめませんので、とりあえずは候補から外しましょう。

スラックラインが断られる理由は以下の様な理由です

  1. 公園の本来の利用法じゃない
  2. 危ない・怪我したら責任が取れない
  3. 木が傷む・かわいそう
  4. 他の利用者に怪我をさせる
  5. 他の利用者の邪魔になる
  6. 通報があった
  7. とにかくダメ

「危ない」が理由なら丁寧にスラックラインのことを説明すればokになるかもです。

「木が傷む・かわいそう」と言われるとハードルが高いかもしれません。実際にはほとんどダメージを与えない設置を行なっていても、「痛む可能性がある」と言い切られたら、アウトですね。「かわいそう」というのに対しては、自分はむしろ木は「喜んでいる」と思うのですが、それを言っちゃうと屁理屈を言い返しているみたいでオススメできません。

「通報があった」これも難しいですね。話を聞いてくれそうなら説明する価値はあると思います。
「利用者の邪魔になる」と言われたら、場所を再考して、どこなら大丈夫か教えてもらいましょう。明らかに、邪魔になる場所、人が通りそうな場所、その公園のシンボル的な場所などは張らないほうがいいです。あと、花期を迎えた桜などに張ることも避けるべきです。
「とにかくだめ」決まった遊びしかやらせてくれない公園があるのは事実です。素直に引き下がり、場所的にそれだけの価値があるのなら、ひとまず時間をあけて計画的に交渉してみましょう。

交渉の可能性

スラックラインの仲間がいる場合は、改めて仲間を含めきちんと交渉するとokになる可能性もあります。理解されるには時間がかかるかもしれませんが、以前スラックラインが禁止されていたのに、交渉してOKとなった例もあります。少づつスラックラインに対する認知度やイメージが好転している現状ではあると思うので、その公園がよほど魅力的ならダメだった場合でもまた時間をかけて交渉してみる価値はあります。

管理者のいない公園の場合

公園は基本的に地元自治体が管理しています。管理事務所のないような小規模な公園や自然公園は地元自治体の建設課・公園緑地管理課などが担当して、定期的な見回りや設備の管理をしています。また河川やダム、港や海岸にある公園は、国土交通相の管轄内の場合も多いです。国立公園内だと、いわゆる普通の公園でも環境省の管轄だったりもします。

そんな感じで公園は場所によりいろんな所が管轄しているわけでうすが、そのような公園にスラックラインに対する否定的な通報が入った場合は、行政の担当者の人などが駆けつけてくるケースがあります。

最近は外部委託されている場合も多いです、地元の自治会が管理している場合もあります。とりあえず、問い合わせをしたいと思ったら、地元自治体に電話して担当部署を教えてもらいましょう。場合により、たらい回しにされて行くところまでいってしまう可能性もあります。つまり、国土交通相に利用申告の書類を提出ってところまでの道のりになっちゃうかもしれません。実際、国土交通相に申告書類を出している集まりもあります。

なんらかの商業施設に付随した公園などもありますがこの場合、比較的寛大なので常識的に設置するならまず問題ないと思います。

本当の自然林に張るのは避けたほうがいいでしょうね。国定公園や国立公園に指定されているゾーンでは、特別の許可がない場合は犯罪扱いとなる可能性があります。

※豆知識。アメリカのヨセミテはナショナルパークですがスラックラインの設置が認められたエリアもあります。

安全面

マットを敷いてトリック練習
自己責任に基づいて怪我に注意して遊ぶこと。
他の公園利用者に対する安全にも配慮が必要。

設置の際気をつけること

場所

ライン13m
なるべく、他の人のじゃまにならないような場所に設置する。遊具の近くや、利用者の動線を塞さいで張らない。デットスペース的な所が望ましい。ロングなら場所を見極める。人が多い日や時間帯は避ける。

ラインは目線により見えにくい場合もあるため、人が多い公園などは目印をぶら下げたりしてラインに突っ込まないように気をつける。

本数

スラックラインを張ると公園の面積を一部占有する形になります。なので、必要以上の本数のラインを張らない。一人なのに、二本・三本も張る人がいますが、なるべく一本で楽しんでください。グループの集まりでも、初心者用・トリック用・ロングの三本でもそこそこに楽しめます。グループ外のスラックライナーが後から偶然に来た際は一緒に遊ぶように誘ってみるのも良いですね。

安全管理

強いテンションを掛ける際やロングラインの場合は設置・リリース時は慎重に。基本的にはラインの持ち主が、そのラインの安全管理をすべきです。ライニングする前に、ちゃんと設置されているか確認してください。特に、カラビナやスリングを使っている場合は要注意です。

また、設置したラインの付近にはメンバーがいるようにし、もし離れる際はラインに目立つ目印を付けておくのが望ましい(自転車などが突っ込まないために)。自分はカラビナでサブマットをぶら下げています。一番いいのはテンション開放しておくことです。

木・アンカーについて

ツリーウエアは必ず
細い木や樹皮の脆い木、老木、弱った木にはラインを回さない。通常利用であれば直径25cm以上あれば大丈夫とされる。ロングラインや激しいトリックを行うダブルラチェットの場合は、アンカー位置が高くなりテンションも強くなるのでもっと太い木を選ぶ。その場合は直径50㎝以上を目安にしてなるべく太い木を利用する。

ラインを巻く際はツリーウェアという、樹皮を傷つけないクッション材を必ず使用すること。もし木を痛めてしまった場合は、今後その木は使わないよう徹底すること。
他の利用者の邪魔になるなら張ってはいけない。邪魔だからといって木の枝を落とすのも超えてはならない一線。

公園のシンボル的な木や、目立つ場所の木もなるべく使わない。他の公園利用者の心情も考えると、花が咲いている木も避ける。あと鳥が巣を作ってるとか。

街灯などの公園の構造物に回すのは破損やトラブルの種になるので、避ける。もし、利用する際は十分な強度があるか検討すること。

参考記事:スラックラインを回していい木、いけない木

興味を持たれたら

子供や通りがかりの人

珍しいスポーツなので、多くの方に注目を浴びて子供などはすぐ寄ってきます。小さい子供が興味を持った場合、乗せてあげるやる気があるなら、必ず保護者の了解のもと乗せてあげてください。保護者の人にもぜひ。

保護者がいないなら断るべき。
もちろん、最低限の説明やサポートは必要です。

公園管理人

公園管理人が様子を見に来たら丁寧に対応し、できればラインに乗ってスラックラインを体験してもらうことが望ましい。遠くから見られて、慌ててラインを撤収すると余計に怪しまれる。ダメだと注意される可能性もあるが、一応安全で楽しいスポーツであるということを説明してみる。何らかの理由で断れれる可能性も大きいので、その際は素直に撤収する。

夜の注意点

警察官

夜の公園は警察官の巡回箇所となっている場合がある。警察官が寄ってきたからといって、慌てて撤収したり怪しい素振りを見せるのは逆効果。普通に対応すればほとんど問題無いはず。

騒がない

グループで集まっていると、ついつい騒いでしまいがちです。場所的に民家もないような場所ならokでしょうが、常識的な範囲で楽しみましょう。一部の地元の人などは、夜の公園にグループが居るだけで不愉快ににさせてしまうケースもあるようです。もし対応するようなことがあれば、笑顔で対応してスラックラインのことなどをきちんと説明すれば理解が得られると思います。

その他

マナーよく利用

当然ながらゴミの持ち帰り・駐車場など、マナーを守って利用すること。自分はゴミを残している気がなくても、気づかずにゴミを落としたり忘れたりします。

その他の場所

キャンプ場では事前に話をしておくと安心してキャンプとスラックラインが楽しめます。

まとめ

長々と書いてしまいましたが、管理者のいる公園だといずれ接触は避けられません。
頑張ってね!的な所なら笑顔で対応、一方的に、ダメだと言われるなら素直に撤収しましょう。
言い分を聞いてくれそうなら、安全なスポーツで木に対する配慮も行なっている事と、場所がまずいなら移動することなどを話し、紳士的に交渉してみましょう。okとなる可能性があります。仲間と段取りを踏んで交渉するのも効果があるはずです。
管理者だけでなく、他の公園利用者や公園の近所の人からの理解も必要です。大事なのは公園を利用させてもらうスラックライナーがマナーよく遊ぶことで、スラックラインは健全な楽しいスポーツであることを発信することかもしれません。

でーすが。たった一本の通報でスラックライン禁止の看板が建ったりするのです。利用者の理解も管理者の意向も関係なく、行政は問題やクレームを恐れてアッサリと禁止にします。そんな時は一体どうしたらいいのか、答えはありません。

愛好者が増えるほど問題が出るのはアウトドアレジャーの宿命

どんなスポーツでも愛好者が増えるにつれ、程度の差はありますが何らかの問題が起きます。MTB、スノーボード、スケボー、スノーシュー、ボルダリング、登山、などなど・・・例を上げればきりがありません。これはアウトドアレジャースポーツの宿命かもです。

長く楽しめるからこそ、多くの人がいろんな場所で楽しめたら素敵

スラックラインは他のスポーツと同じように、生涯を通じて楽しめる遊びです。長い人生、いろんな場所でスラックラインが張れたらもっともっと楽しめますよね。場所が増えればスラックライナーも増えます。それだけのポテンシャルのあるスポーツだと思います。スラックラインには共通の場所で共通の時間を楽しめるという素晴らしい魅力があります。スラックラインはゆっくりでもいいから大切に育てていく価値のあるスポーツだと思っています。