プーリー
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- プーリーは大きいほど摩擦抵抗が少ない。
- プーリーの大きさは大きい順から3インチ・2・3/8インチ、2インチ・1インチ・1/2インチとなる。
- 摩擦効率の目安。3~2・3/8インチ95%、2インチ92%、1インチ90%、1/2インチ70%。たぶん。
- ロングラインにはマイクロプーリーと言われる1/2インチサイズのプーリーは使わないほうがいい。引きこみ区間で使うにしても摩擦が大きすぎます。一回使うだけでもロスが大きいので、いっきに硬くなります。熱も持ちます。スラックラインでは少なくとも1インチ以上を用意したほうがいいです。
- クライミング用品の記載の強度は破断強度MBS、運用強度WLLは安全係数にもよるが1/8~1/5まで落ちる。スラックラインでは安全係数は3、もしくは2と考えられている。ので、破断強度がわかれば、スラックラインのWLLを割り出すこともできる。
- スラックラインのメインプーリーはベアリング入りを使う。ベアリング無しはブッシングという。ブッシングは負荷が少ないなら抵抗は感じないが、不可が大きくなるほど、つまりテンションが大きくなればなるほど軸の摩擦が増えてしまう。一方、ベアリング入の場合は、テンション量が増えてもベアリングが点で摩擦を発生しにくくするので、ブッシングより固くならない。
- ベアリング入りにもベアリング数などで違いがある。シールドタイプかどうかも違う。
- ブッシングにも自動潤滑(中のグリスが少しずつでる)と自動潤滑無しがある。
- プーリーが破損する際は、軸よりサイドプレートが割れる例が多い。
- サイドプレートはスイング式と固定式サイドプレートの二種類。
- スイングサイドプレートは通すのが簡単だが、もし壊れるとロープがはずれる。
- 固定サイドプレートは破断するとロープがはずれるタイプと外れないタイプに分かれる。
- 固定式はO型カラビナを使わなければならない。相性もある。
- プーリーの向きを変えるのにはツイストクィックリンクやツイストシャックルを使う。カラビナ的なものをもう一枚挟むことでも当然行える。
- 同じようなプーリーでも重さと強度が違う。軽くて強い航空機に使われるアルミ使用でシールドベアリング入りのレスキュー用が最高峰。
- 使用ロープ経は小型プーリーは11mm大型だと13mmまで対応している。
- プルージックの巻き込み防止のプーリがレスキューには適している。巻き込んでしまうと、どっちにも動かなくなったりする。結び目やアセンダーが滑車とプレートに挟まってまったく動かない場合もある。逆に結び目が通過できる大型プーリーもある。
- 滑車の素材はプラスチックやアルミ・スチールなど。
- ダブルプーリーの真ん中にあるカラビナをかけられる所はリブもしくはベケットという。
ダブルプーリー二つで普通にロープを通す、いわゆる右から左のやりかたもあるが、ロープのねじれが出てしまうという欠点がある(実際はさほど問題ない)。これは、常にロープの同じ側面がプーリーで外側になることで、ロープの片側の表皮だけが伸ばされるから。これを防ぐにはツイストさせる方法がある。この場合、ロープの通し方が違ってくる。欠点はあまり絞めこんで両方のプーリーが近くなるとラインが斜めになってしまうこと(実際はさほど問題ない)。英語では前者をStandard Reeve、後者をright-angle reeveという。自分的にお勧めは後者。
- ダブルプーリー2つ、シングルプーリー1つでのビレイデバイスまでの区間(6:1システム)。15kNの力でラインロッカー部分を引いていたら、前のダブルプーリーに15kN。ラインロッカー側のダブルの片方のプーリーにそれぞれ5kN、リブ部分にも5kNで合わせて15kNになる。アンカー側はダブルはそれぞれ5kN、リブに2.5kN(合わせて12.5)、ビレイデバイスに2.5kNがかかる。ロープには2.5kN。アンカー側のリギングプレートには15kN。
- ダブルプーリー2つ、シングルプーリー一つでのビレイデバイスまでの区間(6:1システム)。10kNの力でラインロッカー部分を引いていたら、前のダブルプーリーに10kN。ラインロッカー側のダブルの片方のプーリーにそれぞれ3.3kN、リブ部分にも3.3kNで合わせて10kNになる。アンカー側はダブルはそれぞれ3.3kN、リブに1.6kN(合わせて8.5)、ビレイデバイスに1.6kNがかかる。ロープには1.6kN。アンカー側のリギングプレートには10kN。
- ダブルプーリー2つ、シングルプーリー一つでのビレイデバイスまでの区間(6:1システム)。20kNの力でラインロッカー部分を引いていたら、前のダブルプーリーに20kN。ラインロッカー側のダブルの片方のプーリーにそれぞれ6.6kN、リブ部分にも6.6kNで合わせて20kNになる。アンカー側はダブルはそれぞれ6.6kN、リブに3.3kN、ビレイデバイスに3.3kNがかかる。ロープには3.3kN。アンカー側のリギングプレートには20kN。
- メイン区間のプーリーはどうせ買うなら大きくて強いのをお勧めします。高いけど。もし長めでトリックしたい方は。50kN以上を断然お勧めします。
*上の画像はスラックラインツールズSlacklinetoolsのサイトから借りて加工しました。6:1システムになります。ベケットのつ小プーリーを外すと5:1。
※画像の力の単位の表記がばらついていますが、正しくはkNです。
締め上げシステム
- プーリーを1つ使って100kgの重りを釣り上げると、プーリーが吊り下げられている地点には倍の200kgの力がかかる。なぜなら重りの100kgの力が、ロープの始点にも同じだけかかり、合わせて倍の200kgになるから。これをプーリー効果という。
- プーリーを使い、一回折り返すと必要な引き込み距離が増えるが、必要な力は半分になる。物理学的には仕事量は同じ。これもプーリー効果という。
- ロープの途中をクランプで引っ張るってラインを引き込む。この区間を引きこみ区間(サブテンショ二ング区間)という。こうすることにより、さらに数倍の力で引き込みが可能。この部分だけをZリグという。単純に1回のZリグで3倍の引き込みが可能。メイン区間が5倍なら、3倍で15倍になる。さらにZリグを増やせば3倍ずつになる。なぜ三倍かというと、クランプした部分からかえぞえるから。Zリグ一つの場合は、最初のブレーキをプーリーとして数える。ただ、ロープのロックをビレイデバイスなどで行うロングラインの締め込みでは、そこでプーリーとは比較にならない大きさの摩擦が発生するので、数字の通りにはならない。
- プーリーの大きさは、手元に近い方を大きくしたほうが摩擦ロスが軽くなる。が、現実的には大きくて強度のある、プーリーを締め込みのメイン区間に使うことが多い。ということで引きこみ区間では最後の方に大きなプーリーを使ったほうが楽になる。
- 小さいプーリーは効率が悪いが、リギングプレート付近で使うときは省スペースで便利。
バックアップ
- バックアップは必ず必要。強めに引く場合は、リギングの途中でプーリーのバックアップを作る。
- 基本はプーリーシステムのバックアップ。あまったロープを前のプーリーとアンカーを結ぶ。プーリーの塊が飛ばないための一番大事なバックアップ。
- ラインロッカーから出たラインを支点に巻きつけることで、エクストラバックアップにできる。ラインが足りなくてもロープやスリングで代用もできる。これにより、アンカー・アンカーテープの破損に備えることが出来る。
- ロックを行うビレイデバイスが破損した場合に備えて、あまりのロープは結びつけておく。もしくは、更に別のアイテムでバックアップできるようにしておく。
- プーリーシステムのバックアップはリリースする前には外すべきは外しておくこと。
備考
- 倍力しめこみシステムで使うロープは伸びにくいスタティックロープが望ましい。スタティックロープとセミスタティックロープがあるが、定義が違う。スタティックロープのほうが断然適している。欧米ではケイビング(洞窟探検)ロープとも言う。
- 予めカラビナをかけるようなワッカのあるロープはアイ付きというが、けっこう便利。強度も落ちない。ただ、ブレーキからそのまま抜くことができない。
- リギングプレートとの接続は、シャックル・スチールカラビナで行う。
- リギングプレートは強度のあるものは厚くてクィックリンクが使えない場合も。
- 薄めのリギングプレートを二枚重ねで使うことも可能。薄いもの一枚の場合は斜めにならないように注意。
- できることならプレートは大きいほうがいい。
- サブテンショニングが窮屈ならメインとは別のアンカーをロープやスリングを使えば済む。引くときしか力はかからないので強度はさほど必要ない。
- レイアウトによってはロープがビレイデバイスのレバーを引いたりする場合がある。要注意。
- 慣れない人がやると危ない。特にテンショニングは必要最小限で。ライン線上や、支点近くはアイテムが飛ぶ可能性があるので力寄らないよう注意。引くのに夢中になるので何度も注意する必要がある。
- ラインの持ち主が安全管理に責任を持つこと。本格的にテンションをかける前に総チェックするべき。ラインロッカーでラインが噛んでいないか、ゲートはチャント閉まっているかなど。
- ロングラインでトリックする場合、もしくは100mを超すような場合はテンション量が大きいので、テンションがかかるすべてのアイテムはなるべく強度の高い物を使うつもりで。
- ペツルのグリグリは軽量化を優先していて、リリース時にかなり硬くなる場合がある。無理にやるとレバーが折れるので、別の人が一旦クランプ引いてテンションをごまかしてからリリースする方法もある。スラックラインでの利用はメーカーとしては完全に想定外の使い方(この点はどのデバイスも当てはまりそうでそうけど)で、プーリーで閉めこむ際は使ってはいけないとマニュアルにもある。グリグリ1を何度も使ってるけど壊れてないよ!という例も確かにあるけど、折り返し回数にもよるが100mに近いようなラインではヤメたほうがいいのかもしれない。
- 絶対的な安心感のある、ラウンドスリングや大きいシャックルは重いけど、信頼感があるので頼もしい。重さを取るか強度を取るか悩むところ。
以上、メモ。間違ってたらすいません。