エリントンが発明した方法でプリミティブラインを張ってみよう

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slackline.jpを書いている人
歩き方

2009年からスラックライン乗ってます。国内旅程管理主任者、日本山岳ガイド協会公認ガイド(自然Ⅱ登山Ⅲ山岳Ⅰ)、NACS-J自然観察指導員。アウトドア好きでキャンプ、星、植物、お魚好き。
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プリミティブラインとは?エリントンとは?


プリミティブラインとは原始的な方法で張ったラインのことです。
言い換えればつまり、ラチェットやプーリーなどを使わずに張ったラインをプリミティブラインといいます。シンプルだけど妙に面白い側面もあって、プリミティブにこだわっているスラックライナーも一定数います。

今更感がありますが、考えたら少ししか紹介したことが無いので今回書いてみます。

プリミティブで張る方法として、もっとも有名なやり方であるエリントンメソッド(システム)があります。通常、プリミティブラインといえばほとんどの場合が、エリントンメソッドかその発展形です。具体的にはラインを重ねた摩擦でセルフロッキングを行う方法がエリントンメソッドです。

以下、詳しく。

エリントンとは何か?
エリントンとはヨセミテの登山家の名前です。ジェフ・エリントンJeff Ellingtonという若い登山家が1970年代のアメリカでこの方法を開発しました。彼がこの方法をスラックラインの父といわれるスコットバルカムに教えたことから、この方法が仲間内で広がり、やがて本格的にスラックラインへと発展します。つまり、スラックラインの普及のキッカケともいえる張り方なんです。
※スラックラインというスポーツ自体はエリントンメソッドが生み出される数年前にヨセミテで生まれたとされています。

必要なもの


ツリーウェア、歩行用1インチライン、スリング2本、カラビナ3枚、リングという最小限の道具で張れます。
リングはラインロック用ですが、ない場合はカラビナでも可能です。

画像のツリーウェアはエレファントの物ですが、そのほかの物はslack.frのプリミティブというセット品です。セット品はあまり売られていませんけど、1インチラインさえ用意できれば、カラビナを追加して誰でも張れます。1インチラインはエンドループがなくても直接結べば良いので問題ありません。

カラビナとリング



カラビナは形状的には楕円形のオーバル(O型)が適しています。現在主流のカラビナは強度を出しやすいD型や変形D型なのですが、それらでも特に問題なく張れます(小さすぎるのは斜めになったりする場合があるけど)。

ラインロックはリングで行うのがスマートです。市販品としてはラッペルリングなどもありますが、カラビナでやれますし、無くてもいい。

強く張れない張り方なので、直接結んでもok.この結び方はラインロッカーヒッチといいます。
強く張れない張り方なので、直接結んでもok.この結び方はラインロッカーヒッチといいます。

ライン

細いラインなら何でもいいです。レスキューや登山用のウェビングでも張れます。その際はやはり1インチもしくはもう少し細い種類が適しています。およそ14mmの9/16インチなどでも張れます。若干細い方がプリミティブとは相性がいいという人もいます。だがしかし、これらウェビングは通常店舗ではあまりおいていません。今では登山用品店でもあまり見かけなくなりました。あらら。
素材はナイロンを是非お勧めしますが、ポリエステルでももちろん張れます。ナイロンを勧めるのは、エリントンメソッドのテンション量と相性ビッタリ。一方、ポリエステルなら張りやすさと扱いやすさが上で、もう少し固く張れます。

緩めのナイロンは一般的なポリエステルとはだいぶ性格の違うラインとなります。短くても楽しめますよ。スタティックトリックも難易度が上がります。

日本で1インチラインを量り売りで買うならhttp://www.exaler.com/shop/lines/でしか買えないと思います。

張り方

上のラインが下のラインを押しつけることでセルフロッキングを行う。強く張れば張るほどロックが強くなる。
上のラインが下のラインを押しつけることでセルフロッキングを行う。強く張れば張るほどロックが強くなる。


張り方は下のslack.frの動画を参考にしてください。
様々なアレンジが効きますが、このエリントンシステムのポイントはプーリー効果で張りつつも摩擦でロックするという事です。折り返したラインを重ねることで強く張れば張るほど、摩擦が多くなり緩まなくなります。このセルフロッキング機能こそが、エリントンメソッドです。歩いているうちに緩んだり、ラインが伸びたりしますので、時々増し締めすることになります。

通常の2回重さねる方法だと緩めです。ジャンプはちょっと厳しいくらいのテンションでしか張れません。これよりも強く張る場合、アンカー側のカラビナを二枚使って摩擦を抑える方法やローラー付のカラビナやラインプーリーを使う方法などがあります。折り返し回数を増やすのもアリです。アッセンダー使用風にしたりもできるので適当にアレンジしたらいいでしょう。

ラインを好みのところまで引いたら最終的にはカラビナに結びますが、結ばなくてもロック状態にはなります。結び方は好きなように結んでください。クリープ現象などでどうせ緩みます。高く張ったラインの場合は余ったラインに公園の子どもがぶら下がったりするので、ぶら下がらないようにグルグル巻きにしましょう。

動画

https://www.youtube.com/watch?v=IO9-fNUljdI
SlackTech : Installation du Kit Primitiv – YouTube


セット品買うなら

セットを日本で買うならSIのイーラインキット一択となります。
ただし、現在は在庫切れ。プリミティブ張りたい人は入荷したら買いです。
イーラインキットはチューブラーのポリエステルで厚さ2mm。

個人輸入なら他にもいくつか取り扱いがます。

403 Forbidden

イーラインキット – Slackline Professionals – エクスエイラー スラックライン プロフェッショナル

Kit Primitiv – La Boutique du Slackline – Depuis 2005

ラチェットとの比較表

 利点欠点
プリミティブ軽い。工業製品的なラチェットを使わないのでよりナチュラル感がある。ラインとカラビナで張れる。1インチナイロンチューブラーの場合は多くの長さを引かなければならないので、スペース限界のあるラチェットよりも高テンションが得られる場合がある。道具を追加して試行錯誤する楽しみもある。緩くしか張れない。テンショニング区間ようにラインの長さを消費する。高テンションを得るにはカラビナや別の道具が必要。
ラチェットお手軽。設置も片づけも早い。巻き取りスペースが限られるが、薄くて伸びにくい2インチのポリエステルとの相性は良いので、高テンションでも張れる。重い。ナイロン(伸びる)で厚みのあるラインだと巻き取り限界に達するの高テンションは苦手。
プーリー長いラインでも高テンションからローテンションまで対応可能。道具が多く、重い。

まとめ

プリミティブとはラインそのもので張る方法。そしてその場合にラインをセルフロッキングさせるのがエリントンメソッド。これ以上緩いラインが好みなら、わざわざテンションをかける必要はありません。高く張ってラインロック部分をそのままスリングに掛ければいい。

問題は、ラインの入手ですね。こればっかりは工夫して手に入れるしかないでしょう。興味がある方はぜひ。

これを首上くらいで張るのが最近のお楽しみ。