ロングラインって何?
長いスラックラインをロングラインといいます。スラックラインが日本に入ってきたころは30mラインをロングラインといったりしましたが、現在では50m以上のような感覚です。
個人的には最近はスラックラインブラザーズで張ることが多い
ロングラインを張るときに一般的なのが、プーリーシステムで張る方法です。ラチェットだと超頑張ってせいぜい1mくらいしかラインを巻き取ることが出来ませんが、プーリーを使えばそれ以上引くことが出来ます。このプーリーシステムは何点も道具が必要なのですが、今回紹介するスラックラインブラザーズプーリー(以下、SBプーリー)を使えば最小のシステムが組めます。理屈も単純明快。軽めのテンションから試せばまったくロングやらプーリーに触ったことない人でも張れます。難しくありません。30m以下のラインでも割と簡単に張れるので、得意分野です。
難しくないというのは、SBプーリーに限ったことではなく、普通のプーリーを使う方法も実はたいした事ないです。大事なのは自分で道具を手に入れて試すこと。そして、慎重さをもってトラブルについて想像力を膨らませることです。といっても、道具を選ぶ・手に入れる・組み合わせるが最初は難易度が高いんです。そしてそれが、ロングの敷居の高さにつながってます。SBプーリーの場合はシンプルだからその点のハードルが下がるからオススメなんです。
スラックラインブラザーズって?
アメリカの会社でオリジナルのプーリーなどを販売しています。効率のいい天才的なブレーキがついています。現在はもっとも有名なスラックライナーのアンディ・ルイスが社長です。
いいとこも悪いところもあるちょっと癖のあるスラックライン専用の道具です。でも50mのラインを張るときは軽くてコンパクトで早い。このシンプルさは他にありません。自分は一人で張る時が多く、あんまり長いのは大変なので50m台をよく張ります。だから一番よく使うロングの道具です。自分のロング友だちの綱爺さんも、最近はSBばかりとおっしゃってました。
以下、続きます。
スラックラインブラザーズ(SB)プーリーが良い点・悪い点
良い点
- プーリーにブレーキがついている
- ブレーキに摩擦が無い
- サイドプレートが可動式ではなく固定でステンレス製 40kN
- 分解できる(パーツ単位で差し替え可能)
- リリースがスムーズで早い(カラビナ2枚で行う)。
- 4:1なのでロープが少なくて済む。軽量化できる。
ブレーキが組み込みなので、接続も不要。レイアウトがすっきり。そのため、プーリーとしては重いがブレーキ付と考えると軽くてコンパクト。どんなに高性能なプーリーを使っても、マルチプライヤーを追加してもブレーキの摩擦からは逃げられません。ですので、いかに摩擦の発生しないブレーキを使うかがロングラインでは隠れたポイントだったりします。そのブレーキの摩擦がSBプーリーでは発生しません。引いている間は、通常のプーリーとして機能して、緩むときにロックする構造です。さほど固く張らないのであれば、鼻歌交じり。だーけど、強テンションになるとブッシングだからプーリーの軸の方で摩擦が発生して固くなる(泣)。
※ブッシングとは単に軸のボルトにプーリーが刺してあるだけです。何の工夫もありません。
ブッシングだから簡単に分解できるので濡れても平気です。クライミング用のプーリーはアルミのが多いけど、こいつはステンレスで信頼性が高いのもグッド。
ブレーキレバーにはトゲトゲの歯がついています。アッセンダーやトラクションプーリーなどのようにこのトゲトゲでロックするのかな?と思いがちですが違います。トゲトゲは直接的にはロープをロックしません。トゲトゲは引っ張ったロープが緩むときにロープに引っかかってレバーをロック位置に動かすためのものです。ロック自体はレバーでロープをプーリーのプレートに押しつけて行います。この微妙なつくりが職人芸的で素晴らしいです。
悪い点
- ベアリング入りではないので、テンション量が多くなると極端に固くなる。
- サイドプレートが可動式ではないので、ロープを通すのが面倒。
- 拡張性に劣る。
- 10.5mmの場合、滑ってロープを傷つけることがある。11mmでもかなり引くと同じ現象が起きるはず。ロープの太さによらず、ロック中に滑るわけではない。ロックしようとする時にこれ以上はロックできないよという感じで滑って戻る。乗ってる最中などは滑ったりしない。心配ならレバーごと結んで固めてしまえばいい(動画)。
- アタッチメントホールが小さいので、シャックルなどが使いにくい。
使いにくい点としては、アンカーやラインロッカーに接続するアタッチメントホールが小さいこと。ロングラインでよく使われるシャックルのカーブ側が通らない。ピンの方は中サイズ以下なら通るけど、きちんと中央に持ってくるのが難しい。ワッシャーなどを挟んでも高テンションでは斜めになったりしてしまう。斜めになると、滑車本体とサイドプレートが擦れて摩擦が発生してしまう。なので、クィックリンクやカラビナが適している。
あとプーリーがベアリング入りでは無いのも大きな欠点。高テンションになるとプーリーと軸の摩擦量が増えて固くなる。せっかく摩擦が起きないブレーキ付きなのにこれが勿体無い。推奨が70mまでなのはこのため。
それに10kN以上になるとロックするときに滑ってロープが戻る。なので70m以下でもロングとしては若干緩めのラインになってしまう。が、これは好みでこのテンションが好きな人もいるはず。
もっと緩くてもイイならロープさえ確保すれば100mでも200mでも張れる。強い100mは張れない。2セット用意すれば張れるかもしれないけど、その場合は通常のプーリーセットがいいはず。
必要な道具
60mラインを含むロングライン一式。スリングとツリーウェア含んで9㎏程度。
歩行・メインテンショニング用
スラックラインブラザーズプーリーセット
ステティックロープ11mm 20メートル
デルタクィックリンク
クィックリンク
アンカー用スリング *2
ラインロッカー *2
歩行用スラックライン 30m~70m
サブテンショニング用・マルチプライヤー1回
カラビナ*2
アッセンダー
シングルプーリー
ハンドアッセンダー(あれば)
固くなったらマルチプライヤー(Zリグ)追加
テンションをかける時はSBプーリーのセットの本体にロープクランプ(アッセンダーなど)とカラビナ、プーリーを追加してロープを引きます。マルチプライヤー効果でメイン4倍がさらに3倍になり、12倍力で張れます。しかし、固く張りたい場合は一人ではキツイです。
そういう場合は、マルチプライヤー用のアッセンダーとプーリーを追加します。この方法をダブルマルチプライヤーといいます。
これにより、メイン4倍力、サブ3倍力の12倍力から、メイン4倍、(マルチ2倍・ダブルマルチ3倍)-1の5倍を掛け合わせた20倍力となります。
なぜ、-1かというと逆方向のマルチプライヤー部分だからです。
つまり、通常のアッセンダーひとつとプーリーひとつより、ダブルマルチプライヤーにすることで2倍楽に引けます。
もちろん、もう一つアンカーポイントを増やして4*5(追加プーリー2)=20でも引くことは可能です。
シンプルさを目指すならダブルマルチプライヤーがスラックラインブラザーズには適していると思います。アンカー増やすのもリギングプレートとか必要ですし。アッセンダーはプルージックでもできます。
※難しそうな話になってしまいましたが、動画で見てその通りやればいいです。難しくありません。道具さえあれば、誰でもできます。
どの程度引くかは経験。最初はあまり長くないラインでテンション量を確かめながら徐々に引いていけばいいです。そこから自分なりに学んだり調べたりすればいいのですから。
セッティング・リリースの動画
上の二つが、セッティングとリリースまでの動画。3個目はロープの通し方。
Slackline Brothers Pulleys: (4:1) Bare Bones Kit INTRO – YouTube
How To USE Slackline Brothers Pulleys – YouTube
Setting up Slackline Bros pulleys in 60 seconds – YouTube
バックアップの図
バックアップすべきかどうかはテンションにもよりますが、固めに張ったのならぜひバックアップを作りましょう。張る途中で一度接続やアンカーの確認も必要です。
プーリシステム全体のバックアップはロープの末端を前のクィックリンクの地点で八の字結びで結び、立木に回してそこでも結束しています。画像では木の根元のカラビナは解け止めとして使っています。このバックアップは引いて余ってきたロープが確保できた時点で作成します。その後必要であれば長さを調節します。
ブレーキのバックアップはデルタクィックリンクにスチールカラビナをかけ8の字結びです。もし、ブレーキの付け根が折れた場合、8の字を結んでいるカラビナに負荷がかかる前に結び目が詰まります。
この方法に関しては最近公開されたグルグル巻きで結束しておくのが一番いいかもしれません。ちょい面倒ですけど。
使い方のヒント
- 10.5mmでテンション量が多くなる場合、別の人にロックレバーを動かしてロックしてもらえば滑りません。ロックする人が合図しながら引きを緩めます。
- シャックルを使う場合は、ピンにワッシャーなどのスペーサーを挟みます。お勧めは、シャックルじゃなくてクィックリンクなどで接続。11mmか12mmのクィックリンクが売ってたらラッキー!買いましょう。以前は日本でも売ってたのですが、最近は全く売ってません。
- アンカー側はデルタクィックリンクで接続(角度が広くならないように注意)。ライン側は通常のオーバル型がベスト。
- リリースはカラビナを二つ使うやり方をぜひ。グリグリやエディよりもさらに楽です。もちろん最初は慎重にやってください。
スラックラインブラザーズのサイトで購入できます
slacklinebrothers←追記:サイト閉鎖
ずっと値下げ中でプーリーだけのセットが174ドル。そんなに高くない。ただし、日本への送料56ドルくらい。
HPでアカウント取ってカード決済になります。受け取り時には関税を払う必要がありますが、消費税分くらいだと思う。アカウント取るのが面倒だと思いますが、とってしまえば手続きは簡単です。手抜きですいません。自分の時はpaypalが使えましたが今は???
ラインは売ってないのでどっかで好きなラインを買ってください。
※自分は日本への送料が正常に出なかったので、直接送らず転送サービスで手に入れましたが結果的には安上がりだったのかもしれません。
買い方のポイント
軽さやロープの長さにこだわらないなら、5:1のセットでもいいと思います。ただ、ロープセットのロープは10.5mmが付属するので強く張れません。ロープの種類はなるべくロープは11mmを別に用意した方がいいです。11mロープはバランスコミュニティで切り売りしています。日本でも探せば買えるかも。
ロープの長さは通常の4:1で70m以下なら20mで足ります。5:1なら25m。5:1ならもっと長いのも張れるので30mとか40mでもいいのかも。でもそーなると重くなる。
追記
バランスコミュニティで買えます。
http://www.balancecommunity.com/sbi-pulley-set
まとめ、過去の関連記事
以上、最近お気に入りのスラックラインブラザーズプーリーについての記事でした。高いラインが怖いなどの理由で、すごく長いラインは張るつもりがない人なんかいかがでしょう?何かごちゃごちゃしたのが嫌だとか、道具をいくつも増やすのが嫌だという人にもお勧め。ハイラインやウォーターなどにもシンプルだからお勧めします。
ぜひ、SBプーリーでいつもと違うラインを楽しんでください。ああ、送料が恨めしい。あと、セットのロープが10.5mmというのもイマイチ。
アンディが引き継いだ会社→スラックラインブラザーズslacklinebrothersの紹介