プーリーシステムの倍率が精密に算出できる計算フォームの説明

この記事は約 5 分で読めます。 投稿から 7年。最終更新から 5年経過。
作成に約 90 分かかりました。

スプレッドシートで作ったのを春ごろに気合でスマホで動くように作り変えて公開していたのですが、解説記事は書いてなかったし最近バージョンアップさせたので記事にしてみます。

プーリーシステムの数値が出せるサイトやアプリはあるのですが、簡易というかデタラメしか存在していません。例えば、プーリー効率の平均値に倍率とブレ―キの効率を掛けるという計算です。
自分はそれを信じてブレーキが高性能になれば格段に軽く引けると思っていましたが、実際はそう簡単な話ではありませんでした。

ブレーキも大事だけど結局のところ全てのプーリーが影響する。ひとつのプーリーがすべての足を引っ張る場合もある。ブレーキの場所はむしろ影響は少ない場所。

なかなか奥が深いですが、そんな難しい話でもない。だから計算できる。

この計算フォームを使えば簡単です。

slackline.jpを書いている人
歩き方

2009年からスラックライン乗ってます。国内旅程管理主任者、日本山岳ガイド協会公認ガイド(自然Ⅱ登山Ⅲ山岳Ⅰ)、NACS-J自然観察指導員。アウトドア好きでキャンプ、星、植物、お魚好き。
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使い方

必要な情報は、倍数プーリーの効率ブレーキの効率
レイアウトの倍数がわからない場合は、以下エントリーを参考にしてください。

計算フォームの本物は下の方にあります。

プーリーのレイアウトの倍率

ロングラインでのプーリーシステム定番レイアウトの紹介
30m以上のラインを張る場合は、プーリーシステムが大活躍します。 お金はある。やる気もある。でも、なんか難しいそうという人も多いかもしれませんが、定番の決まりきったレイアウトを組め...

定番レイアウトを紹介しています。

効率はメーカーは公表していない場合も多いのですが、3インチのベアリング入りで95以上、2インチで90とか。2より少し大きくて92・93とか。
ブレーキはトラクションプリーで90以上、ペツルではプロ95、マイクロ91と記載されています。

ブッシングは2インチで80とか。85とか。小さいのは70。最初軽くてもテンション増えると効率が悪くなる。

ブッシングプーリーとは単純構造でボルトに刺しただけ。

効率については一度メーカーに尋ねたこともあるのですが、ロープや荷重の程度により変わるから公表しないとのことでした。
明らかなのは大きいプーリーほど効率がいい。いいベアリングほど効率がいいし、力がかかっても数値が落ちにくい。

迷うのはブレーキの摩擦です。
エディやグリグリだと50%で一応計算するのが普通と思いますが、テンション量が多くなると格段に落ちます。ブッシングプーリーでさえ落ちるのだから、ただの金属部品のカーブ部分はもっと落ちて当たり前。
高テンションで固くなってきたときは30%程度まで落ちている思っています。ある程度まで引くと急に固くなるのはこのせいに違いない。

やはりプーリータイプのブレーキとの違いはデカい。

ロープテックジャパンさんのサイトでは実験結果が見れます。
制動重視なイメージのストップよりリグの方が悪いのですね。
27%はカラビナより低い。リボルバーもあれ飾りかって感じ。
ペツルの新しいロールクリップは85%らしい。下手なブッシング小型よりも性能いいんですね。

イタリアンヒッチのプーリー効率 - ロープテックジャパン
シングルロープテクニック(SRT)技術者育成のロープテックジャパン
新プーリー効率 - ロープテックジャパン
シングルロープテクニック(SRT)技術者育成のロープテックジャパン

ペツルのプーリーは効率の一覧表もあります。
全体的に数値が高い気もするけどブッシングは低い。たぶん、それなりに大きい力で測った数値と思います。つまり、スラックラインでの使用に近いんじゃないかなと思うが果たして?

https://www.alteria.co.jp/download/pdf/comp/Pro17-pulley.pdf

An In-Depth Look At Pulley Efficiency
Pulley efficiency is critical to a high-performing tensioning system. We find that switchi...

計算結果は二種類が選べる

張りたいラインのテンションの目安がついていればそれを入力します。
注意点は人が乗らない状態での数値です。人が乗れば当然ながら数値が上がります。

もう一つは、引く力でどの程度の強さまでラインが張れるかということ。

もっとも重要な数値は総合実質倍率です。
これをもとにどちらも結果を出しています。

ではご利用ください

そもそも、これで計算してなんの役にたつか?それは買い物時の参考材料となるってこと。
もっと楽をしたい時に何を加えるのが効率的か?今ある道具でどれを入れ替えたら効率上がるか?など。

バージョンアップしてレイアウトが多少異なります

				

計算式や効率の例などはもともと公開しているページにあります。
計算フォーム自体は同一の物が呼び出されます。

Slackline Pulley System Calculater
You can calculate the mechanical advantage of the pulley system by considering friction.

グーグルのスプレッドシートでもほぼ同じ計算が可能です。
こちらは一覧表形式なので、比較がしやすくなっています。メイン部分も個別入力が可能です。

Calculate Actual MA of Slackline pulley system

注意点・コツ

プーリーシステム配置学での代表的な注意点をいくつか。

プーリーの順序については手元に近いほど大きく効率がいいものが望ましい。
数が多いほど大事になります。

メインの倍率が9:1の場合はなるべく高性能プーリーで揃えましょう。
積み重なって6:1と同じくらいに落ちちゃいます。
例えば、全て95の6:1は実質5.25になりますが、90の9:1だと5.4です。ロープもプーリーも多いのに差はわずか。
ただし、9:1には効率とは別の魅力があります。それはブレーキの負荷が軽減できるので、効率が落ちにくいこと。

9:1は数値以上の利点はあるので上手く活かしたいところ。

ブレーキは高性能なのが理想的ですが、ブレーキだけ替えても劇的には上がりません。マルチプライヤー部分のプーリーを見直すのも手だと思う。値段考えたらトラクションプーリーはコスパ高い。スローリリース必須で強度的に不安はあるんだけど。

2+3のマルチプライヤーの場合は最後のプーリーとブレーキ部分がリダイレクト扱いになります。この場合、ブレーキの差がもろに実感できます。

リダイレクトプーリーとは方向を変えるだけのプーリーです

意味のないリダイレクトプーリーは単なる摩擦熱製造機。
あそこに小さいプーリー使うとガクンと落ちます。オーマイガー。
もし使う場合は、大きいのを置きましょう。その数値がどの程度かも計算可能です。

おわり

簡単に書くつもりが、あれこれ書いてしまいました。
画像まで作ってしまったのでプーリーシステム持ってたり、検討している人は計算してみてください。

めざせ、美しく安全なプーリーシステム。それもまたロングラインの楽しいところ。

もし買いそろえるならやっぱり良い道具が良いのかな。一人は特に。
後々買い直しはやりたくないもんです。

人類のもっとも偉大な発明はプーリー(滑車)という人もいます。古代文明でも1000トン以上の石を滑車やテコを使つかって運んだのだ。

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