大した計算でもなんでもないのですが、計算フォームは探してもネットで見つからなかったので作ってみました。実用性は無いんですけど、興味がある人は使ってみてください。
Y字荷重計算フォーム
AとBの二種類の計算フォームがあります。通常はAを使用。
計算式A:\[ X = \frac{T}{2cos Y/2} \]
X=マスターポイント負荷
T=ラインのテンション
Y=角度
説明:角度の半分のコサインを二倍にした数値でテンションを割ります。って説明になってない。
一覧表
10kNでラインを引いた場合の、スリングにかかる力(テンション)。
水平位置が同じならボルト二点の場合も同じ。同じ力がボルト二本に均等にかかります。
歩行ラインを10kNで引く | |||
角度 | 負荷 kN | 接続点倍数 | 診断 |
---|---|---|---|
0° | 5.0 | 1 | ○ |
20° | 5.08 | 1.02 | ○ |
40° | 5.32 | 1.06 | ○ |
60° | 5.77 | 1.16 | ○ |
80° | 6.53 | 1.3 | ○ |
90° | 7.07 | 1.42 | ○ |
100° | 7.78 | 1.56 | △ |
120° | 10 | 2 | △ |
140° | 29 | 2.92 | × |
160° | 57.58 | 5.76 | × |
180° | ∞ | ∞ | × |
上の計算フォームで算出した一覧表です。
四捨五入の関係で微妙に厳密な計算とは違います。
倍数はスリング二本を合わせた数字。
120度の場合に、ラインと同じ力がスリングにかかる。
説明
木に回すアンカーを想定。二点が水平位置にあって距離も同じなら、ボルトでも理屈は同じです。
木やポールをアンカーにしてスリングを回すと力が半分になります。これを荷重分散といいます。10kNという力でラインを張る場合はスリングには半分の約5kNしかかかりません。なので両者が同じ強さの場合は、ラインが先に切れます。
でも、木がデカくてスリングの長さがギリギリの場合は接続点であるマスターポイントとスリングにかかる荷重が増えます。そのため、酷い時はマスターポントやスリングにラインより強い力がかかります。
90°くらいまでなら大丈夫なんだけど、120°を越えると恐ろしい勢いで負荷が増えていくことが計算できる。
ということで角度は90°を目安に!
いつも細い木に張る人はあまり関係ないかもしれない。直径1m以上などの場合などに起こる。
角度が120未満ならスリングにかかる負荷はライン以下。角度を守るならラインより先にスリングが切れることは通常なら無いでしょう。
スラックラインのテンションはシングルラチェットで大人しく遊ぶ場合は最大5kNくらい。
ラインのテンションはダブルラチェットのトリックラインで瞬間最大10~15kN。ラインが短いのでバウンスで負荷が跳ね上がる。
ロングのテンションは様々だが長いと高さ抑えるために高テンションになって10kNを超える場合がある。トリックと違ってラインが長いので人が乗っても劇的には負荷は増えない。人が乗ってもラインが伸びるのは極わずか。
国際連盟ISAの資料
スリングの強度
ではスラックラインにはどの程度の強度のアンカースリングが必要?という話です。
トリックでもロングでも自分はランドクルージングやエレファントのWLL1Tスリング以上は必要ないと思っています。色でいうと紫で一本線のタイプですね。
テンションを欲張らないなら、もっと弱くて軽いのも積極的に使ってます。あとは信頼できるメーカーかどうか。ラウンドスリングは表記は同じでもメーカーにより重さや中身の本数が違う場合があります。
マスターポントのY字荷重を回避する方法
これらの方法でマスターポイントに対するY字荷重を回避できます。
Y字でも丈夫なシャックルを普通の角度で使えば問題ないはず。
この方法で回避来できるのはマスターポイントに対するY字荷重のみです。スリングは角度を影響を受けます。なのでやはり角度は小さく。
斜めになるのもちょいと問題
角度は問題なくても、スリングが短かったり、アンカーの木がいびつだったり斜めだとマスターポイントが斜めになります。自分はいびつな木の幹を使うと場合があるのでよく遭遇します。シャックル+ロックマンを使うとなぜか斜めになることが多い。
画像は直接ラインロックしていますが、このシャックルにダイレクト接続のラインロッカーを接続した場合にあまりにも斜めだと、片利きという状態になりラインロッカーが歪んだり最悪破損する可能誌があります。
当然、斜めにはしない方が良い。テンションかけたら真っ直ぐ向くのではと思ったりもするが、スリングの出所が違ってしまうと力のバランスが崩れるので斜めになる。
ロデオのアンカーにかかる力も計算できるぞ!
テンションの所に体重と、中心部に立った時の角度を入力すればアンカーにかかる力が計算できます。
体重60㎏で角度90なら、片方のアンカーに42kg。
家にロデオライン張る人は参考にどうぞ。