ロングラインでのプーリーシステム定番レイアウトの紹介

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30m以上のラインを張る場合は、プーリーシステムが大活躍します。
お金はある。やる気もある。でも、なんか難しいそうという人も多いかもしれませんが、定番の決まりきったレイアウトを組めばいいんです。
ノウハウでもなんでもありません。まずはアイテムを揃えて、短い距離から伸ばしてけばいい。肝心の歩行も徐々に距離を伸ばせば100mはそう無理な話でもないと思います。

とわいうもの、ぜんぜん訳が分からないと思うので、とりあえず定番レイアウトを画像で紹介します。

スラクラインを始めた時を思い出してください。乗るたびに長い距離が歩けたのが楽しかったでしょ。それを突き詰めていくのは楽しいですよ。ぜひ2017はロングライン自分で張ってみましょう。

slackline.jpを書いている人
歩き方

2009年からスラックライン乗ってます。国内旅程管理主任者、日本山岳ガイド協会公認ガイド(自然Ⅱ登山Ⅲ山岳Ⅰ)、NACS-J自然観察指導員。アウトドア好きでキャンプ、星、植物、お魚好き。
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メインテンショニングシステムとは?

ラインをラインロッカーというアイテムとつなぎ、そこからアンカーまでの間にメインテンショニングシステムを置きます。

ロープとプーリー、ブレーキを使ってラインを引くんです。そしてブレーキがテンションを保持します。

メインテンショニングシステムはロープの起点からブレーキまでです。ブレーキの手前までとも考えられますが、メインはテンション保持が最も大事な機能なのでブレーキは外せません。
こに部分はロープの長さにも密接に関係します。
例えば、ラインを5m引きたい場合は最低でも必要な+1mのシステム区間6mは必要です。以下に紹介する5:1システムなら6×5で30mロープが必要となります。節約する方法もあるのでこれより短くても普通に張れますけどね。

テンションを保持する機能があるので、なるべく丈夫なプーリーなどを準備する必要があります。メインのダブルプーリーは2インチ以上がおすすめかな。

ブレーキとして使う下降器はエーデルリッドのエディ(アンスロンのローリー)がもっとも普及していておススメ。丈夫ですし。
よほど軽量セットを組みがたい人以外にはペツルのグリグリはおススメしません。

接続するシャックルなども必要になることを考えると、購入する際はランドクルージングなどでの個人輸入がお勧めです。

一部、歩き方独自の用語を使っています。メインテンショニング区間とかサブテンショニング区間とか。

メイン5:1システム


5:1とは5倍で張れるシステムであり、5倍力システムともいいます。
ロングラインを張る場合に通常の道具では最小のシステムです。

ダブルプーリーのベケット(真ん中のやつ・リブとも言う)にブレーキを接続することも可能です。こうすると省スペースになります。リギングプレートを使うと接続するためのコネクターが増えるので、使わなくて済むなら使う必要はないです。

スラックラインブラザーズプーリーなどダブルにブレーキ付の場合は、4:1システムになります。最後のプーリーはブレーキなんです。

メイン6:1システム


ダブルプーリーふたつにシングルプーリーひとつを追加します。前のダブルプーリーのベケットにひとつ繋げれば6:1システムになります。
個人的にはバランスがいいのでお勧めのレイアウトです。
張られたラインの6分の1のテンションがロープやブレーキ、プーリーにかかります。

これ以上となると、ダブルプーリーを4個使った9:1システムになります。これはこれで強力ですがアイテム数が多いのでよほど長いラインでないと行われません。長いロープも必要になります。

サブテンショニングシステムとは?

ブレーキの手前にアッセンダーなどのロープを掴む道具をつけて引いていきます。マルチプライヤーという手法でこれにより一気に倍率を上げて引くことが可能です。倍力やリギングシステムともいわれるシステムの肝にならります。

倍率を上げていくと軽くはなりますが、引く量が増えます。
引く人数が多い場合は、最小の3倍でも余裕で引けますから短時間で張れます。

アッセンダーを起点としてブレーキを折り返しが出来るプーリーとします。代表的なのは3倍、5倍あたりです。これでも固い場合は、さらにアッセンダーやプーリーを追加していきます。
歩行ラインのテンションを保持しませんので、プーリーの強度はさほど必要ありません。ですが、サブテンショニングの数が多くなるとプーリー効率はもろに影響します。

サブテンショニングシステムはテンションを得るためだけのシステムで歩行時は取り外します。
おススメのアッセンダーはペツルのベーシック。

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サブの倍率とロープの長さは全く関係ありません。

サブ3:1システム


最もシンプルなサブテンショニングシステムになります。Zリグとも言われる定番のやり方です。
60mくらいならこれだけで張れます。人数がいれば100mも張れます。

これを接続しないとラインが引けません。最低でもプーリーひとつとアッセンダーは必要ということになります。

サブ5:1システム、ダブルプーリー使用


アンカーにひとつプーリーを接続してアッセンダーにダブルプーリーをつなげます。

これにさらにアンカーに一つプーリーを接続し、ダブルプーリーのベケット部分にもう一つプーリーをつけると7:1になります。

サブ5:1システム、ダブルマルチプライヤー


これは逆方向に引くので単純計算が当てはまりません。
3+2で5:1システムになります。
アンカーにプーリーを接続する必要が無いので省システムです。
ただし、ブレーキでリダイレクトすることになるので摩擦が少ないブレーキに適したやり方です。エディでやるとロスが大きい。

サブ9:1システム、ダブルマルチプライヤー


アッセンダーふたつのダブルマルチプライヤーです。このかたちはダブルZリグともいいます。9倍です。アッセンダーを動かす手間は増えますが、プーリーの数は少なくて済みます。シンプルでしかも、効率いい。

一覧表

ブレーキはサブのプーリーになります。
★付はこのエントリーで紹介したレイアウト

倍率 プーリー アッセンダー 備考
★メイン5:1 4
★メイン6:1 5 1
★サブ3:1 2 1 追加アンカーポイントと無しで可能。
複数人で引くならこれだけでも引ける
★サブ5:1 4
★サブ5:1 3 2 追加アンカーポイントと無しで可能
サブ7:1 6 1 ダブルプーリーのベケットにプーリー
★サブ9:1 4 2
サブ11:1 5 2 最後に逆方向にアッセンダーつけて引く
サブ15:1 6 2 アンカーにプーリーを追加して
アッセンダーをつける。

プーリーシステムの注意点

いくつか注意点があります。
まず、メイン部分は強度優先で信頼できるクライミングやレスキュー用プーリーを使ってください。アンカーとの接続点(マスターポイント)やラインロッカーとの接続も強度が必要です。

順序も大事です。特にプーリー数が多くなると全体の効率が落ちます。

意味のない方向を変えるだけのリダイレクトプーリー

このプーリーは単に方向を変えるだけのプーリーになります。
リダイレクトといいますが、リダイレクトは折り返しの摩擦が増えるだけで避けた方が好結果になります。

アンカーの後ろが崖などで引けない場合などに採用してください。

プーリーの順序

摩擦効率が手元の方から、良い方>悪い方にプーリーを並べた方が全体の効率を失いにくくなります。
なぜなら、効率の悪さが積み重なりますから。

積み重なる摩擦はアッセンダー部分で計算上はリセットされます。
スラックラインではプーリー数が多いのでかなり関係してきますが、これはメインもサブも同じことが言えます。

サブで引く際は、ブレーキが最後のプーリーとなるので摩擦の影響は最小限ですが、メインの最後についているブレーキが通常のタイプだと、その効率の悪さが最大限に発揮されてサブテンショニング(マルチプライヤー)なしにはロープはほとんど引けません。

ただし、スペースや強度のなどの関係でその通りできない場合もあります。

トータル倍率の計算の仕方


メインとサブをかけ合わせればトータル倍率が出てきます。
この場合は、45です。
つまり、ロープを引いた力の45倍の力でラインが引けるということになります。ただし、摩擦考慮するともっと効率は落ちます。プーリーの数が多いし、ブレーキは大きな摩擦がありますからね。

もっと詳しく知りたい方は、下記エントリーをご覧ください。

プーリーシステムの倍力の理屈を簡単に説明
プーリーシステムって? メイン6:1、サブ5:1の30:1システム。プーリーの数は8個。ロープクランプ1。 メイン5:1、サブ5:1の25:1システム。プーリーの数は6個。ロープク...

最後に

いかがでしたか?
ここに紹介している画像で代表的なプーリーレイアウトはほぼ網羅しています。

これ何倍かな?と思う方は確認してください。

特別難しいことは無くて計算もかんたんかんたん。

プーリーでロング張ってますと言う人も、単に仲間とワイワイ引いているだけで細かいことを理解せず何となく張っている人もいると思います。
それはそれで正解とも言えますが、ロングを張る楽しみってのも見逃している可能性も無くは無い。

これが理解できれば各道具の負荷もわかるようになり、無駄に重くて強い物を使ってしまうことも防げます。

世界的に流行っているロングラインに乗り遅れないよーに。