バックアップ事情。歩行ラインの断絶問題。

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slackline.jpを書いている人
歩き方

2009年からスラックライン乗ってます。国内旅程管理主任者、日本山岳ガイド協会公認ガイド(自然Ⅱ登山Ⅲ山岳Ⅰ)、NACS-J自然観察指導員。アウトドア好きでキャンプ、星、植物、お魚好き。
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トリック用の高テンションでのバックアップ

超おすすめのバックアップ方法。ロープは8mmをループにすることで強度アップ。結び方はダブルフィッシャーマン。

ダブルラチェットで設置する際はテンション量が大きいので、スリングとシャックルで設置し始めからラインが切れない方法でなるべく張った方がいいです。追記:2014-11-13

トリック用の高テンションラインの場合、アンカー側が切れてラチェットがライニング中の人にぶつからないようにバックアップはぜひやりましょう。
画像の方法だと、強度的にはロープ二本でバックアップしていることと同じになります。このロープはクライミング用のロープなんでそこそこの強く、この程度の緩みで回しています。アルパイン用の8mmツインロープです。結び目はダブルフィッシャーマン。少し力を入れて結び目を近づけないと、緩む時があります。でも、この結び方は緩んでもむすび自体は解けません。結び目が離れるだけです。カラビナもいらないし、シンプルだからこの方法がいいと思います。多少、ラチェットでロープが擦れると思いますが、この太さのロープなら問題ないはずです。
バウンスでロープが木に擦れるのは短すぎです。もしあまり余裕が無いとメインが切れた際にそのままテンショションを引き継ぐことになり、耐えられない可能性があります。強度が低めのロープなら、多めに余裕をもたせましょう。そうすることで、最低でも飛ぶラチェットを止めるこができます。

ある程度の強度が見込めロープるなら、バックアップの余裕を少なくすることで、被害を最小限に出来ます。ラチェットからのラインが余っているならば、そのラインを使うのが一番安心です

メイン歩行ラインの破断はバックアップ不可

歩行ライン断絶問題

ラチェット付きのアンカー側のバックアップは、自分の身を守るセルフビレイや確保などに近い行為かもしれません。一方、歩行ラインの破断は自分以外の誰かに対する危機管理といえます。
アンカー側の破断はバックアップ出来ますが、歩行ラインがもし切れた際はバックアップは基本的に不可能です。ハイラインとかでは命にかかわるので、行われていますが、トリックラインでは普通は行われていません。
あまり古いラインや一部が極端に傷んだラインは注意して下さい。さほど古いラインでなくても、超ガチガチに張って、バウンストリックをやりまくると前兆なく切れます。

もし切れた場合は、ラチェットは支点方向に飛んで木などにぶつかります。それだけで済めばば問題ありません。でも、もしその近くに人がいたら、怪我につながります。乗っている人は尻餅程度ですみますが、誰かに怪我させる可能性があるわけです。これを防ぐ方法は、ダブルラチェットなどの支点近くには近寄らないように徹底させることです。

アンカー側のラインが長すぎると、木にぶつからない可能性がある

細い支点の場合は、二回回すなどして対処すべきです。木にぶち当たるのをイメージしてくだい。エレファントやギボンの新しいX13は2.5mの長さがあるので、一回回すだけでは長すぎるときがあります。

また、スリングとシャックルをつかい、長いアンカーライン(ラチェットとつながっている2m程度ライン)を使っている場合は、長いので激しく暴れて支点の後方に届く範囲まで飛ぶ可能性もあります。なので、スリングとシャックルで設置する際は、ラチェット接続のラインはなるべく短いものを使いましょう。

歩行ラインが切れると危ないかもしれない設置

これだと支点からラチェットが長いので、歩行ラインが切れると支点周辺が危ない。バックアップはラチェット付きラインがが切れた際に、ライニング中の人に当たことを防ぐことはできるかもしれないが、歩行ラインの断絶には対応できない。他の人が近くにいないならこれでも問題ないといえば問題ないけど・・。

要するにラチェットから支点までの距離が長いと、暴れる範囲も広がるって話。

歩行ラインが切れてもあまり危なくない設置

これは体験ラインなんでバックアップ無しです。参考画像。もしこれを一回しか回さず、強く張っていて、歩行ラインが切れるとラチェットが木の周りをグルッと回るかも。木にぶち当たっても、その長さゆえに近くの人に当たるかも。

ウインチ、レバーブロックの場合

ワイヤーウインチやレバーブロックの場合は、アンカーの破断にしろ歩行ラインの破断にしろ、惨事となる可能性があります。でかいし、重いし、チェーンやワイヤーがあるし。破壊力が大きいはずです。

どちらのアイテムもスラックラインは本来の使用の想定外です。ワイヤーウインチもレバーブロックも説明書を確認したら、人間が巻き上げ動作以外に関わることを禁止していました。引きずりや吊り下げの長時間の保持も想定外です。通常なら、スラックラインではロングラインなどでのテンショニングやディテンション用であり、歩行時は必ず外すように警告されています(スラックプロ)。

ウインチを否定するつもりはありません。便利だし、想定外の使い方という意味ではラチェットだって厳密には危ない使い方です。高テンションでガンガンバウンストリックをやることも、常識的に考えれば危ない行為になってしまいます。サーファーラインをダブルデカラチェで超ガチガチに張ることは、メーカー的に有りか?無しか?販売店や代理店に聞いたらどう答が返ってくるでしょうか?初期のギボンのマニュアルでは「無し」になっています(適度に沈むように設置させてくださいという図があります)。つまり、ダブラチェットで強く張る行為は、危ないから自己責任でやって下さいの世界です。でも、高テンションなトリックの流れは止まりません。楽しさを知ってしまったので。

■追記2013-03-31
新しいサーファーラインにはオウンリスクという言葉などが記載されたタグが縫い付けられています。怪我しても知らないよってことです。

ウインチは自分が何度か乗った限りでは、問題が有るとは思えませんでしたが、もしスラックラインでメインで使うなら、アンカーの破断と歩行ラインの破断に気をつけて下さい。さらには未知数なので、ウインチ自体の破断にも気をつける必要があります。どこが壊れて、どうバックアップするべきか考え、ガチガチに張るなら強いバックアップするべきです。つまり、ラチェットと同じ感覚でバックアップしても、バックアップにならない可能性があります。ワイヤーや鎖もクセモノですが、上手くやればアンカー側のバックアップは出来ます。歩行ラインの破断に対してはワイヤーを短めになるように調節して、支点近くに人が近づかないようにするのが一番簡単で確実な方法だと思います。これさえやれば、ウインチでも問題ないはず。ラチェットでも同じ事が言えます。

ロングの場合

ロングのバックアップ。ちょいゆるめ。もう少し遊びを少なくした方がいいはず。
リギングプレートがない時は木に結ぶ。


・余ったラインは木に結びます。アンカーが切れた際の念のため。養生とシャックルならまず破断しないけど、ついでです。
・引きこみで余ったロープの末端をプーリーの前のラインロッカー付近に通して折り返して、木、もしくはリギングプレートに結びます。足りない場合は、折り返さずラインロッカーとプレートなどと結びます。
・ブレーキが壊れてロープが流れないように、ブレーキのにエイトノットなどで結び目を作りカラビナでプレートと繋げる。

被害の大きさで考えるとリギングプレートが一番良さそう(プレートが破断しない保証はどこにもないけど)。自分はスチールカラビナをダブルで使っている。
ま、いろんなやり方があるので有名ロングメーカーの動画などをチェックしてください。

あと、ロングはテンショニング中も危ないので、ロープが届くようになったら最中でもバックアップをする。そして不用意に近づかず、安全な場所で引く。

考えすぎ?

色々書きながらも自分もいつもバックアップしているわけでは無かったりします。
でも、自分のラインで自分がダブルで設置した場合は、それが古いラインだと心配でバックアップがないと乗れません。
ラインの種類にもよります。

でも他の人のラインには古くてもバックアップがいい加減でも、なぜか不安もなく乗れてしまう不思議。
人任せだと、感覚が麻痺しちゃんでしょうね。

基本はラインの持ち主が安全管理をすべきですが、乗る人も同程度に気をつけるべきです。人が集まると慣れない人が設置したり、あれこれやってるるうちに何かミスしてたりする事も考えられます。
スラックラインのテンションは特にダブルラチェットやプーリー、ウインチの場合、尋常じゃない強さだから、大怪我に繋がらないよう注意して下さい。

関連エントリー:バックアップの必要と方法