スラックラインには鉄製カラビナが安心→鉄製シャックルだと更に安心

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slackline.jpを書いている人
歩き方

2009年からスラックライン乗ってます。国内旅程管理主任者、日本山岳ガイド協会公認ガイド(自然Ⅱ登山Ⅲ山岳Ⅰ)、NACS-J自然観察指導員。アウトドア好きでキャンプ、星、植物、お魚好き。
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スラックラインとカラビナ

通常のラチェット採用の15mキットで軽めに歩いたりする場合は、カラビナについてそれほど神経質になる必要はなかもしれません。最悪壊れたとしても命の危険ってほどのことにはなりませんので。ただ、Y字荷重や折り曲げたり、捻る使い方はしないで下さい。間違った使い方は、急速に金属疲労を貯めることにつながり、繰り返すとぶっ壊れます。

そもそも、普通のスラックラインはカラビナは使わなくても設置できるので、なるべくシンプルにまとめるが一番だと思います。なので、以下のカラビナの強度についての話は、命に関わるハイラインや、想定以上のテンションを掛けてしまうかもしれないロングラインの場合と思ってください。

■追記2011-08-24
バウンス系などの極端にラインに負荷のかかるトリックをする、もしくはウインチやプーリーを使って張るロングラインの場合は、メインのテンションが掛かる部分にはカラビナは使わずに、スチール製のシャックルを使ってください!!アンカーでのY字荷重にの場合でも破断強度は5000kg程度あるので、対応出来ます。ハイラインなどでは大型スチールカラビナがお勧めです。

アルミカラビナは一気に割れる


Carabiner developmentの画像をクリエイティブ・コモンズライセンスに基づいて表示させてもらっています

スラックラインに使うカラビナは最低でもクライミング用のものを使ってください。そして、できればアルミ製ではなく鉄製がいいです。カラビナはほとんどがアルミ製なんですが、鉄製のものもあります。

レスキューなどのカラビナを専門的に扱った本によると、カラビナは捻れたり折り曲げたり、などの想定外の力がかかると強度が落ちて割れると書かれています。特にアルミの場合、強度低下が激しいそうです。カラビナは汎用性が高く便利なため、実に多くの場面で使うことができます。ですが、その便利さ故に、想定外の方向から力がかかる所で使われてしまうことがあるのです。
もちろん、表記される破断強度以上がかかった場合も割れちゃいます。力的には正常な方向から掛かっていたとしても、想定以上の力でまずゲートが壊れて一気に割れるでしょう。ということは、いきなりブッ壊れてどっかに飛んでいくということで、ロープが切れるとことと意味合い的には同じです。つまり、人命に関わりかねない大惨事ってことです。

※折り曲げ状態は「カラビナの鯖折り」という状態です。スラックラインで細い支点に巻いたとき、カラビナを使うと巻く力でカラビナの側面が支点に押し付けられると鯖折り状態になります。この状態になってしまうと、カラビナ本来の性能がグッと落ちてしまいます。

鉄製(スチール)カラビナはまず変形して壊れる

一方、鉄製は重いですが、いっきに壊れず変形するんだそうです。強度そのものも同サイズのアルミ製より優れている製品が多いです。かといって、スチールカラビナが数倍強いかということでもなく、あくまで表記程度の強度しかありません。

ですが、いきなりぶっ飛んだり、することはスチール製の場合はアルミより減るので、レスキューの本にはチロリアンブリッジなどの両側から引っ張って強めのテンションがかかる場面では、鉄製カラビナを使用することが当たり前のこととして書かれています。

スラックラインのテンションの力はかなり強い

チロリアンブリッジとは例えば、川や谷に人がぶら下がって渡るために張ったロープのことです。当然ながらスラックラインとチロリアンブリッジのどちらがテンションが高いかといったら、余裕でスラックラインの方だと思います。スラックラインはラインを渡して更にそれをギチギチに引っ張りますから(ちなみにジブラインの強度は約30kN、ラチェットは25kN)。そしてさらに、そこでバットバウンスとかやっちゃうのですから、そのテンションたるやチロリアンブリッジの比ではないでしょう。つーことで、スラックライでは強度に優れて割れない鉄製カラビナを使うことが、出来れば望ましいとも言えるのです。実際に動画で、ロングラインを張っていたらカラビナがブッ壊れたシーンを見たことがあります。

アルミ製カラビナでも想定された方向で、想定内のテンションを掛けるのなら十分に使えます。しかし、使うごとに劣化するのでいつ壊れてもおかしくないアイテムなのは間違いないないので、使わない方がいいと思います。

そしてより安全を求める場合は鉄製が安心だということです。また、カラビナ以外の特定の専門的なギアも素材が何であれ、想定範囲内の力を想定した状態で加える場面では、安心して使えるでしょう。

※カラビナはゲートという弱点があるので、激しいトリックやロングの場合は、鉄製のクィックリンクやシャックルがやはり安心です。

世界最強のカラビナ


鉄製カラビナで世界最強と知られているのはアメリカのオメガ社の物です。クライミング用ではなくレスキュー用としてカテゴライズされていて、なんと強度は73kN。強度は普通のクライミング用のカラビナの2倍~3倍はあります。そのぶん重くて大きいんのは仕方ないですかね。日本でも売っているので、一応紹介しておきます。ちなみに、オメガ社のカラビナは全部性能テストをしているので、カラビナの内側の上と下に傷があります。ただ、惜しいかななオメガ社の鉄カラビナで楽天で買えるのはD型ばかりなんですよね。D型はエンドループをかけるのにはベストじゃない気がしてしまいます。
鉄(スチール)製カラビナは他のサイズや他のメーカなどもありますから、探してみてください。

ハイラインではピンを落としたりするリスクがあるので、シャックルは使用には注意が必要です。
なので、ハイラインではこの世界最強のカラビナが使われていたりもします。アンディは何枚も持っていてハイラインではこれを使うことを進めています。


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その他の鉄製品

カラビナほど機能的ではありませんが、鉄製のネジ式シャックルを使うのも手です。シャックルはカラビナのようにゲートがなく板状ではないので、どの方向に対しても強度を発揮できそうな気がします。実際スラックラインで使っている人もいます。自分も、ロングラインの設営やトリック用にダブルラチェットで張る場合はシャックルを使っています。もちろん、十分な太さのを使っています。今使っているのは、規格品で使用荷重が1250kg(破断は5000kg以上)のものと3250kg(破断19500 kg)の二種類を使っています。

ホームセンターなどで安く売っているシャックルは業界規格を通していないもので、すごく太いのに使用荷重400kgまでとかで記載されています。たぶん鉄って素材とか成形方法で強度がだいぶ違ってくるんでしょうね。鉄を流しこんで作っただけの製品だと、見た目は太いのに性能が低かったりするんだと思います。本体に刻印のあるものはJIS規格品で強度も保証されているので、そういうものをオススメします。詳しくはWLL・SWLって刻印、何のことか知ってるかい?などで調べてみて下しさい。

また、カラビナのゲートがネジ式になっているギアでクィックリンク(マイロン)というギアも有ります。クィックリンクはちゃんとした本当の意味でのネジのゲートなので、同サイズのカラビナよりも強度に優れています。ゲートがちゃんとネジ山のあるネジだと、ゲートそのもの強度が高くてゲートが弱点とならないのです。なので、強度的にも優れコング製は60kNという高い数値を誇っています。ペツル製にもありますが、スチール製で25kNアルミ製なので15kNとなっています。大きな欠点がそのサイズの小ささです。コングのクィックリンクでもゲートの幅が1cmくらいしかなく、O型を細く潰したような形で、スリング的なものも上と下一本くらいしかかけられません。本来の用途が、クライミングやケイビングカラビナをかけるための物ですから、それに適したサイズになっているみたいです。値段はコングのクィックリンクで2500円くらい、ペツルのは1000円以下と比較的安いので、そこら辺を理解してシステムで有効利用できそうなら手に入れたらいいと思います。
注:クィックリンクは横幅が小さく、スラックラインのエンドループはかけれないと思います。ロングラインやハイラインなどで、何かしらのギアを接続する場合に使用するのが現実的な使い方でしょう。