公園の樹木を見分けてみよう
いつもスラックラインの歩き方を読んでいただきありがとうございます。
突然ですが私、日本自然保護協会の自然観察指導員でもあります。10代のころから会員で、その後指導員にも登録しました。指導員は講習を受ければ誰でもなれるんですが、特に活動しているわけではないので、主に金銭で自然保護活動に参加している感じ。
過去には国定公園の観察センターのボランティアガイドや、川辺川ダム(九折瀬洞)の調査活動などやったことあります。あとは仕事で九州と日本の山岳ガイド連盟の公認ガイドとか、海外もガイドしたことあります。主なところはスイスアルプスとかカナディアンロッキー、キナバル山。
今はスラックラインしながら木と親しんでます。
勝手ながら木が喜んでくれると信じて(大馬鹿と思われても仕方いけど)。
そもそも自然観察が好きなんです。
公園でスラックラインを張る場合は木のお世話になりますが、やっぱり気になります。
スラックラインを張る回数が増えれば、ラインを張るのに適している木の種類がある程度固定されているのに気づくはずです。
木の種類の判別は山野となると際限なく難しいのですが、公園はぐっと範囲が狭まるのでだいぶ簡単になります。
一度ラインを張った木の名前を調べてしまえば、次にどこかで同じ木を見たときにあの公園のあのラインの木だ!って覚えられます。
花や季節は関係なく、雰囲気で判別できるはずです。
以下6冊お勧めの本を紹介します。
6位 kindle 樹木の事典600種 たのしい園芸
キンドル版が圧倒的に安い。
なんと299円(期間限定の設定なのか?1600円になったり299円になったりを繰り返しています)。
ぜひ買ってタブレットに入れておこう。スマホには適さない。
画像も解説もツボを得ている。安いからと侮ってはいけない。特徴的なのは花や実の時期がグラフ化されていること。
品種は少ないが、前半に実や花からも検索できるページがある。
気になる人はサンプル版もダウンロードできます。
現場での判別には適さない。
というのも電子書籍の場合、検索が絶望的に使いにくい。後ろで名前を探し、またページを移動するのは超大変。
家でタブレットで眺めて読んで知識を増やす用途に向いている。
とりあえず樹木に親しみたい人向け。
5位 都市の樹木433
持ち運びやすいポケットサイズの図鑑です。
パラパラめくるだけでそのクォリティーの高さが実感できます。
小さいながらも写真が美しく多い。花、樹皮、葉。
サイズを考えるとこの情報量はすごい。普通の本じゃないことは確か。並々ならぬ情熱が注がれている本。
だけど、悲しいかな公園で気になる木を見つけてめくっても、該当ページに辿り着きにくい。画像が小さいのも見にくい。
気になる花、葉っぱ、実を見つけたら気合で本から探すことになります。
これだけの豊富な内容ならもう少しサイズ大きめにして欲しかった。
4位 樹皮ハンドブック
落葉樹は冬は葉が落ちるので判別しにくいけど、樹皮から種類を絞ることは可能です。スキャンした葉の本で有名な林さんが葉ではなく、樹皮に絞った本。
だけども、樹皮からはすぐに判別するのは非常に難しい。
若木と老木では驚くほど違う場合があるし、似た木が多いから。
葉で判別する場合の補助として持つのが良いと思う。サイズは小さいので持ち歩くにも適している。
似た本としては自分は下の本の方が優れていると思っている(葉や実の写真が多いから)が、今は絶版だがそんなに古い本じゃない。欠点としては収録にムラがあること。例えば、公園で比較的メジャーなユリノキが収録されていない。
無理して手に入れるほどでは無いから買うなら上の林さん本で。
3位 樹木図鑑―葉・実・樹皮で確実にわかる
収録点数が比較的多い、特徴的な葉や美、花、樹皮から検索も可能。
身近な種類が多いので公園の木などを調べるには向いている。
価格が大きさとページの割にお安めなのが最大の特徴。
紙質は悪い。
分厚くて重いので持ち歩くには適していないが、家の本棚にとりあえず一冊という場合にお勧め。
本格使用には物足りないが一般家庭では十分かもしれない。家に帰ってから画像や印象を頼りに公園の木を調べるには適している。
個人的には収録品種がよくまとまっており好きな本です。
例えばキイチゴも5種類くらい収録されている。他の本では全く載ってなかったりするので、より生活の現場にマッチするように考えられたチョイス。
2位 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類 (山溪ハンディ図鑑)→改訂版が出て1300種になってます。
葉をスキャンする方法の第一人者の林さんが満を持して山と渓谷社から出した本。葉から調べる本としてはこれ以上の本は無いと断言できる。山系ハンディから収録数多いの出してくれないかなぁと思ってて本当に出版されたときはとてもうれしかった。
圧倒的な収録数ゆえに重くてデカく高い。
惜しいのは花や実をすべて網羅しているわけじゃなく、さらに全体の印象がわかるような写真が必ずしもあるわけでは無いということ。
樹木によっては葉からではなく、シルエットや雰囲気、花や実の方が判別しやすい場合があるがそれらには対応し難い。
これは例えば葉の形より花が目立つ樹木なのに、その花の写真がないということである。万能ではないということだ。
あくまで葉から探す場合に最強。
同じような本としては以下の本があり、上記の林さんの本が出るまでは使っていた。
こちらはスキャンではなく葉の写真なのだが、学術写真のようで綺麗ではない。葉柄部分が拡大されているので、地道に調べるには適している。見てて楽しいわけではないが、判別機能だけ考えると今でも優れている本。
追記:改訂版が出て1300種となってます。つまり日本の樹木はほぼ網羅しています。すごいとしか言いようがない本です。
1位 フィールド・ガイドシリーズ23 葉で見わける樹木 増補改訂版
存在的には2位で紹介した樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類 (山溪ハンディ図鑑)をより厳選して持ち運べるようにした本です(出たのはこの本が先)。
2004年に出た本。
小学館のフィールドガイドシリーズに突如新刊が出たのだが、それがこの本だった。
著者は葉の画像をスキャナーで取り込りこむ手法の第一人者である林さん。
待ちに待っていた判別に重きをおいた本だたので即買い。
品種の見分けに焦点を当てた持ち運べる本は少なかったのでこの本には満足だった。
スキャンで取り込まれた葉は綺麗で新鮮。画期的な一冊と言えよう。
収録品種の範囲は若干狭いながらも身近なセレクトはかなりいい線。見分け難度も★で表せられており、コツや見間違う種類も記載されている。こういった視点でまとめられていた本は今までなかった!
その後2010年に増強版が出て80種も増えた(これまだ持ってないんだけどね)。
樹木の種類を知りたいと思っている人にはどんな人にもお勧めできる。自分で調べれば調べるほど、レベルが上がる。
使えば、他の種類のことや違いも見えてくる。植物の葉の全体が見えてくる。
とにかくこの一冊はお勧め。
損はしない。
でも、この本買ったからってすぐ種類がわかるわけではない。本をヒントに名前を割り出し、全体の印象で覚えよう。
持てば満足という本じゃないから、使って満足してみてください。
まとめ
草花の場合、主に花で見分けることになり、地域・時期・色で見分けていきます。
樹木はどうでしょう。
花が目立たない場合や見えない種類も多い一方で、100m先からでも判別できる種類もあります。シルエットというかたたずまいでクスノキ、ケヤキと判別できます。
もちろん、わかりずらい木もある。そういうときに可能なら葉っぱを一枚拾って本で見比べて品種を絞ることが可能。さらには写真も撮っていればほぼ完ぺき。
そのうちに、いろんなことが見えてきます。
この地域の街路樹はケヤキが多いなとか。
古い公園には○○が多いなとか。
やっぱりプラタナスはイイねとか。
さすが都会の公園はおしゃれな木が植えてあるじゃんとか。
自分がよく張る公園ではクスノキ、ムクノキ、ケヤキ、エノキが多い。 他には、桜、杉、プラタナス などスズカケノキやモミジバフウ系統、ユリノキ、メタセコイア、カツラ、ヤマモモ、タブノキ、モチノキ、 センダン、クヌギやナラ、シイやカシノキ諸々、ナンキンハゼ、アオギリ、マツ、 楡、って感じ。
張りやすいのは高さ10m以上の大きさにまで成長する場合がある木です(ちなみに日本の木の高さは20mもあれば最大クラスです)。
公園で大きくなる木は地域性を考えれば主要なところで10種類、少しサイズが落ちた種類も含めて最大で30種程度でしょう。
ぜひ名前を調べてください。
あなたは公園では何種類の木にお世話になりましたか?