ツリークライミングとは?
ツリークライミングとはロープを木の枝にかけて登る行為です。
最近は公園アクティビティとしても一定の認知度がある模様。
DRTダブルドロープテクニック(MRS-ムービングロープシステム)という方法は安全性が高く、子どもでも登れます。
我が家の庭には4mほど登れる場所があり、長男が登ってぶら下がりながら漫画を読んでたりと時々やっていたので、ある程度の知識(ケイビング方面も)はあったのですが、遊びの範疇でしたので今回本で勉強して何本か登ってきました。
あなたも巨木に登ってみませんか?
※この記事では一部古い名称を使っています。
DRT → MRS Moving Rope System (ムービングロープシステム)
Moving: ロープが常に動くという構造と機能SRT → SRS Stationary Rope System (ステーショナリーロープシステム)
ツリークライミング システム名称 移行について
Stationary: ロープは動かず常に固定(fix)されているという構造と機能
ロープが登れる理屈
どうやってロープを上るの?という疑問ですが、「上には上がるけど下には下がらない」という二種類のロープワークを駆使します。腰のハーネスと足元にそのロープワークを接続して尺取虫のように登っていきます。準備さえしっかりできれば小学生でも登れます。
腕の力は必要ありません、足の力を多く使います。動作的には座って立つの繰り返しに似ています。なので腕の力はバランスを保つ程度しか使いません。
落ちないの?
誰もが感じる不安。落ちないの?正しい手法ならばロープから落ちることはありません。場合によりずり下がる程度です。万が一のためにずり落ちても途中で止まる結び目を作っていきますからより安心です。もちろん、ロープはとても丈夫で30kN つまり3000㎏程度の荷重まで耐えます。ロープが激しく傷つかない限り人の体重程度で切れるということは絶対に起こりません。
危惧すべきはロープをかけている枝の強度です。そこさえ丈夫なら落ちることは無い。このポイント選びこそが「落ちないの?」に対しての最も重要な回答になります。
ツリークライミングの本
ずばり、この本はお勧め。
ツリークライミングジャパンのテキスト的な本。
安全で楽しく手軽にをモットーにツリークライミングの技術が紹介されています。
セッティングや登り方の基本事項はほとんど記載されています。DRT(MRS)に限るなら特別難しい内容はありません。イラストも豊富で完璧。
木に対する心構えなどにも触れられているのが好感触。木に対してあいさつやお礼。自分も真似したいです(スラックラインでも)。
トラブルやレスキューについては記載されていません。ひとりで登る場合も考慮されていないので、トラブルに想像を膨らませて対応していく必要があります。
講習会や資格についての案内も記載されており、専門的な指導を受けてから登ることが本来なら理想になります。
自分も興味はありますが、試行錯誤しながらオウンリスクで登ることを選択。
ツリークライミングで登っている様子
長男が登っている様子です。どうやって上に上がっていくのか、多少は理解できると思います。ただ、ヘルメットかぶり忘れという大ポカ。
ツリークライミングは体力も腕力も必要ありません。必要なのは正しくセッティングされたロープ。そこさえセッティングできれば誰でも上まで登れます。
このセッティングこそがツリークライミングの魅力です。スローラインを投げ目的の枝に紐を通し、その紐を手掛かりに太い登攀用のロープを通します。ロープが通せたら登攀のためのブレイクスヒッチその他をハーネスに正しく接続し、足にはプルージックというロープの足掛かりを作って安全チェックの後に登り始めます。
道具について
画像の道具の説明
- 左の箱がスローキューブ、中にスローライン、右上緑のがスローウェイト、赤い紐とボールがリングセイバー引き下ろしようの道具。
- 黒いロープが自作リングセイバー(大小のリングがついている)
- 赤い紐がフットループ用の自作プルージックコード
- カラビナがサドルと接続する安全環付カラビナ
- 黄色のロープが昇降用のクライミングロープ
肝となるブレイクスヒッチ(昇降につかう)を手持ちロープを変えながら試してみたところ、10.5mmセミスタティック、7mmアクセサリーロープでも成人男性の昇り降りが可能でした。しかし、固くノットアビリティの低いロープは結び目が締まらないので、機能しませんでした。ロープとの相性はシビア。
ブレイクスを使うならDRT専用ロープは準備したい。
どのロープを使うにしろ、止まり止まり、チビチビ、降りていきます。降りるときは摩擦を調整しながら降ります。
細いと調整しにくいから太さ11mm以上が推奨されているのは納得。
それまでは10.5㎜のシンギングロックのセミスタティックで登っていましたが、ロープくらいは買っとくかと思いツリークライミング用の11.5mmを購入。SRTとDRT兼用モデル。
その他は家にあったものを使用。
フリクションセーバーというアンカーで樹皮を保護する道具はリングセーバーを自作。
ハウススリーブは登りたい木の枝が太いのが多く適さなさなそうなのでリングセーバー使ってるけども、ハウススリーブの方が安全性その他の面で良いと思う。ただ、ハウススリーブ方式は自分が買ってしまったダブルブレイドとは相性が悪いみたいです。要するにレクレーションツリークライミングのロープは16ストランドの一般的なやつがやはり良いってことですね。
必要なものはロープとハーネスとフリクションセーバーとカラビナ、プルージック。
たったこれだけ。
もちろん、正式にはもっと道具が必要。道具の選定は難しい!
高さ6m以上を目指すならスローラインやウェイトはほぼ必須。
ロープはテンドンのEVO11.5mmを購入
レクレーション用途ではもっと太いのを使うようですが、長さあたりの値段が安い11.5mmを購入。STRとDRT兼用のダブルブレイド(24ストランド)のロープは初めてだったけど、いつものロープと使い勝手が違う。なんか、細ロープにカバーがついたような二重構造のロープみたいな感じ。つまり、コア(芯)とシース(外皮)が別物感がある。
プルージックで外皮だけ絞られて登ってると変になる。なんか微妙。ミルキング現象というらしい。10m登った時(20m絞ることになる)はミルキングしまくりだった。最初はなぜこんなにロープが捻じれるのかと不思議だったが、シースだけが捻じれていたのでした。
SRTに興味がないのなら、兼用ではなく専用のロープが良いです。
ブレイクスノットを使うDRT、つまり趣味や楽しみのレクレーションツリークライミングならなら16ストランドの太さ12~13mmクラスをお勧めします。
ロープはツリークライミングワールドで買えば間違いない
上記で紹介した本を書いているツリークライミングジャパンのお店。
本に出ててくる道具と同じものが売られています。
クスノキ6mでリハーサル
クスノキ、高さ6m
幹回り7mのクスノキ、高さ8m
幹が近いと右に振られたり左に振られたりと登りにくい。けど楽しい。
宙づりの方が楽。
この林の主と握手。
ロープ掛けたい個所が沢山ある。
もう少し上も行ける。
幹回り5mのクスノキ、高さ8m
6歳の次男は手順のマネできるから登れるんだけど遅々として進まない。
家の庭の4mなら自分で登れるけど降りれなくなる可能性もあるので、今回は下から二人で引き上げてあげる。
高さは8m。もちろん落とすわけにはいかない。
ツリークライミングのQ&A
- Qツリークライミングのやり方は?
- A
1本のロープと専用の道具を使って登るSRT(シングルロープテクニック)、ロープを二重にして特殊な結び目で登るDRT(ダブルドロープテクニック)の二種類の登攀方法がありますが、どちらも専門的な技術が必要です。
- Qツリークライミングの講習・資格ってあるの?
- A
ツリークライミングジャパンが定期的に全国で体験イベントや講習会を開いています。参加すれば資格が取れ、さらに上級の講習にも参加できるようになります。
ツリークライミングやってみて思う
上まで登るとスリルもあるし、景色も新鮮。
でもなんか足りない。
達成感のような感覚はあまりない。スラックラインと比べるからこんな感覚が出るんだろうけども。
確かにツリークライミングはスポーツとはあまり言わないし。単に登るだけでなく、自然観察の視点や工夫や遊び心を加えていきたいところ。
セットするロープに高さを求める感覚はあるにはあるが、風で揺れる枝に登ること考えた瞬間、なんかゾッとした。そこまで求めてない。
木の上に登ること自体よりも、「上手くロープがセットできた」とか「あの木にのあそこまで上がった」とか「誰それを登らせてあげた」という分野の方が達成感は有るのかもしれない。それが楽しいし、魅力なんだとだと思う。そういう面はスラックラインと似ている。
一般的には場所や木の問題もある。趣味としてはなかなか厳しいジャンル。
安全に想いを馳せながら、もう少し高いところを目指してまた登ってみよう。ただし、命懸け。