スラックラインを張って問題ない木は?
木の幹の太さ
スラックラインは公園などの木と木の間に張って遊びます。あまり細い木は避け、ある程度太いを選びます。具体的には木の直径が25cm以上あれば問題ないとされています。
つまり、幹周りだと78cm以上です。また、木の直径が増えると三乗に比例して体積が増えます。直径50cm、幹周り157cmの木の場合は直径25cmの木と比べると、8倍の体積があり強度も断然高まります。
自分的には歩くだけならギリギリ直径20cmくらいから、軽めのトリックするテンションなら25cm以上あれば張ってokかなぁと感じています。ダブルチェットやロングラインは30cm以上が必要で、なるべく50㎝を選んで下さい。
直径25cm以下の程度の木だとラインを張って激しくジャンプしたりすると木が揺れる可能性もあります。多少揺れるくらいは問題は無いと思いますが、限度というのがあるので明らかに揺れるなら、違う木にしたりアンカー位置を低くしてください。
Aフレームを使えばアンカー地点を低くできます。
スラックラインの力は?
スラックラインの力は様々ですが、初心者用のラインで人が乗って短いなら3kN長めで5kN、ダブルラチェットバウンストリックで10kN、大会クラスの超ハイテンションラインで15kNくらいが目安。
ロングラインの場合は5kN~10kNです。
たらすロデオラインは体重くらい。
大雑把ですが多めに見積もって最大瞬間15kN?ですがこのクラスになると古いラインは切れます。
20kNは通常では有り得ないほどの強テンションで、実験でもない限りこのテンション量には達しません。
もしかしたらスラックラインが木を引き倒す心配もあるかもしれませんが、普通に考えて木の方が圧倒的に強くラインの方が先に切れます。
もちろん木の状況は様々ですので、極端に細かったり、地面が柔らかい場合は根が傾いたりするケースも考えられます。
しかし直径25㎝を以上を選ぶならば木の方がスラックラインの力よりも何倍も強い。
ISAによるデータ
ISAの資料には30㎝で8kN以下、8kN以上なら40㎝以上を選ぶようにと記載されています。
弱った木や傷つける可能性のある木は使わない
当然ながら、切り株や弱った木だと強度が落ちているので、そういう木は避けます。ツタヤ地衣類の付着が見事な木も避けたほうがいいでしょう。樹皮がうろこ状に剥がれる木もありますが、経験上スラックラインではさほど剥がれませんでした。松や杉、ムクノキ、ケヤキ、その他老木は手でうろこ状の樹皮を剥ごうとすれば剥ぐことが可能ですが、ツリーウェアを使ってスラックラインを張るのならそのようなは樹皮でも剥げないので大丈夫です。
斜めの木や、太くても角度が大きく枝分かれした枝などには張らないでください。必ずこの木は大丈夫かなという目で見てください。
ツリーウエアを使う
↑ヘインツザックのスラックラインという本に紹介されていた。剥がれた樹皮を使い、ツリーウェアの代わりにして使っている画像。
また、ラインを回す際は十分な厚さのあるツリーウェアを使用して、樹皮が擦れて傷まないようにすることは最低限のマナーですので、必ずツリーウェアを使ってください。身近なものでも代用できますし、自作も簡単です。
必要以上に何本もラインを張らない
一人なのに、三本とか明らかに不必要な本数を張らない。木を保護する意味よりも、公園利用のマナーとして相応しくない行為。複数人で遊ぶ際も、交代で乗れば少ない本数でも十分楽しめる。例えばグループでも、初心者用、トリック用、ロング用の三本で十分楽しめるはず。
※公園の木の場合は、他の事にも注意が必要です。
スラックラインの7ヶ条に少し触れていますので確認してください。
- 木の直径25cm以上、周囲78cm以上の木を選ぶ
- ツリーウェアはかならず使う
- 必要以上にラインを何本も張らない
※直径から幹周りを割り出す式→直径×円周率(3.14)=円周の長さ
状況に応じて考えてみる
ラインを張る高さが高いほど木には負担がかかります。ロングラインの場合はアンカーの高さ2m程度に張ることもあるので、その際は最低でも直径30cm以上は欲しい気がします。また、逆に細い木に張る場合、ラインを回す所をなるべく根に近いところにして自立板でラインを上げれば頼りない木でも負担を最小限にしてラインを張ることが可能です。もしくは、頼りなさそうな細い木ならテンションを緩めにかけて遊ぶのもアリです。
一つの幹に複数張る場合は同じ方向に2つは避けるべきでしょう。一番いいのは逆方向ですが、木の大きさによっては問題ないケースもあると思います。また、若干細い木に張っている場合に、反対側にも張ってすこし木の負担を和らげることも可能です。
他にも避けるべきケースは、木に鳥が巣を作っている、桜など鑑賞目的の樹木が花期を迎えて花が咲いている、目立つシンボル的な木、他の公園利用者の邪魔になる、などなど自分で時と場合を考えて非常識にならないようににしてください。
弱った木を見分ける方法
弱った木かどうかを見分けるのは木をじっくり観察してみます。葉の茂り具合がまばらだったり、一部の葉が枯れていたり、極端に幹が割れていたり空洞があったり、樹皮を押すとスポンジ状になっていてボロボロ剥がれ落ちるなどが弱っている木の特徴です。下のほうが良い状態でも、上の枝が傷んでいる可能性もあります。
十分な強度があるか五感をフル活用し、木の気持ちになって考えてみましょう。
株立した木に、まとめてラインを回さない
木の種類によって根元から数本の幹が立っている場合もあります。そういう状態を株立(かぶだち)といいます。株立するかどうかは、種類によっても決まりますが、切り株から新しく生えた枝が大きくなった場合や、老木が年をとるにつれて徐々に株立ち状態に移行していく場合があります。
このような株立した木の場合、一つの幹が直径25cm以上あるならその幹に回せば問題アリません。ですが、少し細い幹が3本出ていたとして、それら3本にまとめてラインを回さないで下さい。3本の幹を強い力で締め付けることになり、想定以上の負担が幹にかかり折れる可能性があります。
傾いた木には張らない
大きく斜めになった木も避けます。斜めの木はどの方向からテンションをかけたとしても簡単に根が浮く可能性があります。老木で明らかに歪な幹の場合も避けたほうが無難です。
なので、こういう傾いた木はラインは張らずに観察対象としてみましょう!どうして傾いたのか?傾いてからどうやってバランスをとっているのか?傾いている方向とは逆に大きな枝を伸ばそしてバランスをとろうとしてませんか(針葉樹は違う方法です。ぜひ、調べてみてください)?根はどうやって踏ん張ってます?木のバランスのとり方を考えるなんてまさに、スラックライナーならではの視点で観察できます。
移植木と実生の木の違い
公園に移植された木は、そのほとんどが植木農家が育てた木です。このような木は苗の段階から何回もその大きさに合わせて移植が繰り返されて、その後公園に植えられます。このような木は、根は細いものが大半でで太い根はありません。これはわざと細い根ばかりにしているのです。そうしないと、移植性しても正常に活着しません。また、移植されたばかりの木は根で地面を掴んでいません。地面に乗っかってるようなもんです。なので、新しい公園でいかにも植えられてすぐの木は避けるのがベターです。
一方、野生の木、実生の木はどんどん太い根を先に張ります。このような木を移植するとほとんど活着しません。というのも、移植の際に細い根はほとんどきられて太い根だけになるのですが、太い根は水や養分を上手く吸収できないからです。移植された木と比べるとこちらのほうが、根の張りが良いために強度は勝るはずです。
ご神木や神社・寺の境内の木には張らない
地元に何かゆかりがあったり、代表するような大木は神木として祀られている場合があります。これまた当然ですが、これらの木はラインは張れません。もし見つけたら、珍しい木を見つけたと持ってよく観察してみるべきでしょう。
神社や寺の中はもちろん、所有者のハッキリした私有地と思うべきです。神社仏閣は植えられている木のそれぞれに意味があるので、もちろん張ってはダメダメ。今は、わりと開放的な神社・寺もあるので所有者の許可があれば張ることは問題ないと思います。近所のよく知っているような神社なら、張っても問題ない場合もあると思います。。
スラックラインを木に親しむキッカケにしよう
せっかく木にラインを回すのですから、もっと木と親しくなっちゃいましょう。日本人は殆どの人が自然が好きと言いながらも、実際は身近な自然さえもよくわかっていません。森が怖いくて近づきたくないと考えている人もいるようです。一方では、森林に入ることで様々な医療効果を感じることが出来ることは学術的にも実証されて、各地で森林セラピーなどのの積極的なプログラムが行われていたりします。
日本の森には現状で様々な問題があるとされています。簡単にいえば自然林にしろ人工林にしろ各地の森が荒れてきているのです。それらの問題の原因をひと括りにすると、現代人の「木や森に対する無関心」が引き起こしていると言われています。もっと積極的に木材の利用を進めるべきとも言われます。
スラックラインをキッカケに樹木にもっと親しむってのはどうでしょうか?
まだまだ知らない木の奥深さ
木の種類は桜も知ってるし、松も杉も、イチョウも金木犀も知ってるよ!という人もいるでしょう。紅葉だって新緑だって四季折々の樹木を楽しんでいるという人もいるでしょう。ですが、それで木に親しんでいると言えるでしょうか?
現代メディアは極端です。春は桜一辺倒で、秋は紅葉、最近はやたらと秋の金木犀の香りを連呼しています。やはり派手な現象にばかりどうしても目が行きがちです。
例えば庭の木にしても、近所の公園の木にしても身近なところに木はあります。花が小さく、ほとんど目立たない地味な木が沢山あります。それらの木を見て、スラックラインを張るには大きさはどうかな?木と木の間隔は何mかな?毛虫が落ちてこないかな?など気にしてあげると、木に親しむキッカケになります。
そして葉を観察してみたり、写真に撮ったり、木の種類を調べてみたりと興味が広がります。すると、その木は喜ぶんじゃないでしょうか?
木を擬人化するなんて子供じみている、馬鹿げていると思われるかもしれません。でも研究で木はいろんなことを考えている事が証明されています。例えば水を近づけると喜んだり、ある曲が好きだったり嫌いだったり。公園の木と会話してみるのも、スラックライン同様に奥深いはずです。
木はスラックラインで喜ぶ?
細い木なら「止めて欲しい」と思うでしょうが、ある程度太ければ「嬉しい」じゃないかと自分は思います。木は当然ながら動けません。生まれて死ぬまで同じ場所です。だから嬉しいんじゃないかなぁと。おかしい?ようするに言いたいことはその木の気持ちになって考えるってこと。スラックラインをする人は自分でよーく考えてみてください。